昨年が生誕350年ということでメモリアルイヤーだったアレッサンドロ・スカルラッティ。で、それに合わせて世界初録音という触れ込みで登場していたのが、その『聖母マリアの夕べの祈り』(スカルラッティ、アレッサンドロ(1660-1725)/Vespro Della Beata Vergine: Van Der Kamp / Nederlands Chamber Cho)。うーむ、これもまた文句なしの名曲。なにかとても高揚感のある軽やかで美しい旋律が巧みに交差する、とても甘美な音楽世界。うーむ、ハマったな、これは。これまで録音されていないことが不思議なくらい……と思ったら、これ、まとまった形では残っておらず、収録に際してあちらこちらに点在する楽譜を集めて再構成したものなのだという。なるほど、ちょっと曲数が少ないのもそのためか。ちなみにこの録音は、詩編ベースの5曲(109: Dixit Dominius, 112: Laudate pueri Dominum, 121: Laetatus sum, 126: Nisi Dominus aedificaverit, 147: Lauda Jerusalem Dominum)と、Ave maris stella、Magnificatから成る。演奏はハリー・ヴァン・デル・カンプ指揮でオランダ室内合唱団。NAXOSライブラリーにも入っている(こちら)
しばらく音楽関連のコメントを休んでいたけれど、ぼちぼちと再開していこう。少し前からお気に入りになっているのが、スティルス・ファンタスティクスというグループによるヨハン・アダム・ラインケン(Johann Adam Reincken)の『音楽の園』第1巻(ラインケン、ヨハン・アダム(1623-1722)/Hortus Musicus Vol.1: Stylus Phantasticus)。リュート奏者として個人的に注目度の高いエドゥアルド・エグエスが参加している(笑)。ラインケンは17世紀末から18世紀初頭に活躍した作曲家・オルガン奏者。スウェーリンクに師事し、後にハンブルクのカタリナ教会のオルガニストを務めたのだとか。『音楽の園』(1687)は6曲のパルティータから成る曲集で、今回のvol.1とされた録音ではそのcうちの1番、2番、4番、6番を収録している。『音楽の園』の録音はほかにパーセル・クァルテットの抜粋盤とかがある(NAXOSライブラリーにある)。聴き比べたわけではないので比較はできないけれど、少なくともこのスティルス・ファンタスティクス盤(率いるのはヴィオラ・ダ・ガンバのフリーデリケ・ホイマン)は全体的に落ち着いた雰囲気で個人的には大変好印象なのだな、これが。vol.2にも期待しよう。