このところの諸々

*メルマガのほうで出てきたダマスクスのヨアンネスの小品『キリストの二つの意志、二つの本性、一つの位格について』は、TLGだけ見て「なんか見あたらないなあ」と思っていたら、Documenta Catholica Omniaのサイトにpdfファイルがあった(苦笑)。ファイルはこちら。イコン論とか『正統なる信仰について』などもいいけれど、ヨアンネスの小品というのもなかなか味わいがある。ギリシア語も比較的読みやすいし(笑)。小品めぐりをしてみるのもいいかもなあ、なんて思っているところ。

adam takahashi’s blogの9日のエントリで、τὸ θεῖον(神的なもの)のアラビア語訳がالشي الروحي(スピリチュアルなモノ)になっている場合があるという話を見て、ちょっと妄想気分が高まった(苦笑)。θεῖονを辞書で引くと、θεῖοςの中性形とは別に「硫黄」「硫黄の煙」を表す同形異義語があり、バイイの希仏辞書によると、古形に(疑問符つきながら)「息をする」の意味があったかも、みたいな話もある。ちょっとこのあたり、もう少し詳しく確認したいところだけれど(バイイでは、テオフラストスの『匂いについて』という書が挙げられていたりする)、案外この同形異義語が、アラビア語訳でのروح(スピリット、プネウマ)の訳語を導いた可能性もありそうな気がするなあ、と。さらに英語で「悪魔は硫黄臭がする」みたいに言ったりするのも(その表現、チャベス大統領がブッシュのことをそう言ったみたいな話もあったし、ホラー映画『エミリー・ローズ』とかにも出てきた)このあたりの絡みがあるのかもしれないなあ、なんて。