虚学・実学

先日、「神学は果たして虚学なのだろうか」というコメントをいただいたのだけれど、それに関連するかもしれないということで、佐藤優『神学部とは何か』(新教出版社、2009)というのを、とりあえずはざっと1章目だけ読んでみる。おー、いきなり冒頭から挑発的な文言が。佐藤氏によれば、神学は「虚学」だけれど、それは「役に立つ」虚学だという。この場合の虚学とは「見えない事柄を対象とする知的営為」だという。で、その虚学は他の実学(ほぼあらゆる学問)の成立を支える礎なのだという。うーん、なかなか面白い論点ではあるなあ、と。ただ、そのあたりの話、一章目に関する限り必ずしも深まっている感じではないので、ちょっと物足りない気も。著者の佐藤優氏については、『中央公論』の連載とかで名前を知ったものの、著書は読んだことがなかったのだけれど、今回のこの本は肩肘はらずに書いたという感じかしら。神学部出身で外交畑を歩んできたというなかなか独特な経歴。2章目は自身の神学部時代を振り返っているので、そのあたりの、転身なのか一貫しているのかよくわからない(失礼)身の寄せ方についても記されていそう……。それにしてもこの本、「シリーズ神学への船出00」となっているので、今後神学関連の手引き書が多数刊行されるということなのかも。それはそれでちょっと期待したいなあ、と(笑)。