マルブランシュ……

空き時間読書ということで(まだまとまった時間が取れないのだけれど)、上村忠男『ヴィーコ – 学問の起源へ』(中公新書、2009)も読み始める。ずらずらっとすでに半分を超えてしまう(うーむ、仕事が遅れるなあ……)。ヴィーコの思想をテーマ別にわかりやすくまとめた良書なのだけれど、この5章目、「ヴィーコとキリスト教的プラトニズム」がちょっと目を惹く。なにしろそこでは、ヴィーコが関心を寄せていたというマルブランシュの「観念の神起源説」が取り上げられているため。マルブランシュは「人の内部で思考しているのは神である」「神が観念を人の内部に創造する」といった論を展開するというわけだけれど、あらためてそう言われると、なんだかこれはアヴェロエス思想の残照のような感じもしなくない……。つまり単一知性論ということだけれど、ラテン中世でそのあたりは少しねじ曲がっているみたいな印象があり、アヴェロエスがもともと考えていたことって、案外マルブランシュに近かったりして、なんてことを空想・妄想したり(笑)。たとえばデカルトの第一真理のはるか先駆者みたいな形でアヴィセンナが取り上げられることは珍しくなくなったけれど(もちろん、文献的な影響関係などではなく、思考のある種のパターンを抽出した場合の話)、ならマルブランシュのはるか先駆者はアヴェロエスとか?うーん、でも、マルブランシュはアヴェロエスとかを痛烈に批判しているみたいな話もあったような気がする……(?)。いずれにしても、やっぱりアヴェロエス、アラビア語で読まないとね。しばらくお休みしているアラビア語、再開しないと。あ、この際だからマルブランシュもちゃんと読もうっと(笑)。