オリヴィの質料論 – 2

2日間にわたり用事で田舎へ。行き帰りなどに、少し前に挙げたオリヴィ『質料論』を読み進める。『命題集第二巻問題集』の長大な問一六の、異論、反対異論ときて、自説が述べられる答弁部分。そのまだ半分に差し掛かったあたりだ。うーむ、まだまだ先は長い。でもその中心的な考え方は見えてきた。オリヴィの考える質料とは、たとえば蝋の塊のように、それ自体で現実態ではあるものの、同時に可能態でもあるもの、つまり形相を受け取ることによってより高い完成へと向かう傾向(inclinatio)をもつもの、ということらしい。オリヴィの解釈では、アリストテレスすらも質料を純粋な可能態とはしていないとされる。すでいしてそれは実体、複合体であり、さらなる完成のために形相を受け取るということで、それは形相の付加ということになり、こうなるとモノの本質と偶有との区別もあいまいになってくる……。自説部分の全体はこの後どうやら天使(オリヴィ以前には質料をもたないとされていた)をめぐる議論になっていくようだ。というわけで、それはまた後日メモることにしよう。

「オリヴィの質料論 – 2」への2件のフィードバック

  1. 非常に重要な資料を紹介していただき感謝です。天使の問題についての続編も期待しております。

    ちなみに質料を一定程度それ自体で独立した存在としてとらえる見解の16世紀における展開を扱った論文として、

    東慎一郎、「16世紀スコラ主義自然哲学と無規定量概念」、『科学史研究』、第41巻、2002年、98-101頁

    があります。本エントリーで扱われていることと関係が深いので、ぜひご一読を。

  2. こちらこそ、貴重な資料をご紹介いただき、ありがとうございます。
    さっそく探してみたいと思います!

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