ラルペッジャータ

いや〜これはまたすごい感動ものの一枚。ラルペッジャータの新譜『十字架の道』(Via Crucis [CD+DVD]<期間限定盤>)。結成10周年記念盤ということで、マリアの受胎告知からキリストの受難と栄光までを、17世紀のバロック音楽と伝承曲のアレンジなどで見立てていくという趣向のなんとも贅沢な内容。初っ端のビーバー「ロザリオのソナタ」からのプレルーディウムからしてすでに引き込まれる。そこから一転してナポリの子守歌。それに続くのはナポリの伝承曲タランテッラをベースにしたこのCDオリジナルの一曲。続くは17世紀のメルーラという作曲家の一曲……というふうに、時空もやすやすと飛び越えて(笑)聴く側のイマジネーションを刺激する。静から動、動から静へと、情感の揺さぶりがもの凄い。ビーバーのアリアなどは(これまた「ロザリオのソナタ」から)実に見事で、ぜひ全曲で聴きたい感じ。また珍しいところではコルシカの伝承曲が入っていたりする。ラルペッジャータはクリスティーナ・プルハール率いる古楽集団。以前、カヴァリエーリの『魂と肉体の劇』(最古のオラトリオとか言われているものですね)のCDがすごく良かったのを覚えている。で、今回のも負けていない(変な言い方だが)。指揮のプルハールはテオルボやハープの奏者でもある。ソプラノはヌリア・リアル、カンターテナーはフィリップ・ジャルスキー。