今年のロバート・バルト

今年も出ていたロバート・バルト(リュート走者)のヴァイス録音「リュートソナタ集」。もう10巻目になるのか〜。S.L.Weiss: Lute Sonatas Vol.10。今回はジャケット絵が従来のリュート奏者を描いたものではなく、帆船の絵(ピーター・モナミーの作品)。で、この絵の趣向が変わったのに合わせてか(?)、内容も少しこれまでとトーンが違うような……。従来の実に求道的な、ひたすら深く沈潜していくかのような重厚な音づくりではなく、何かその先にいきなり明るい開けた空間が現れたかのような印象。もちろん収録曲が長調なので(ソナタ28番ヘ長調「名だたる海賊」(上の帆船の絵はこれに関連してということか)、ソナタ40番ハ長調)、そのせいも若干あるだろうけれど、それにしてもどこか突きつけた明朗さを感じさせる。その後に入っているもう一曲、「ロジー伯の死を悼むトンボー」も、以前のようなただひたすら重厚な感じとは違っている。少し路線が変わってきたのかしらね。でも確かなタッチやたたみかけるような音は以前のままで、この新路線は個人的にもなにやらとてもいい感じだったりする(笑)。今後にも大いに期待。