「ロザリオのソナタ」

バロック・ヴァイオリンのパブロ・ベズノシウク以下4人によるビーバーの「ロザリオのソナタ」ダイジェスト版の公演を聞きに行く。16曲から成る「ロザリオのソナタ」のうち、10曲のプログラム。ところがこれがなかなか壮絶なことに……。前半の最後「磔刑」の途中で、なんだかヴァイオリンの音がおかしくなった。げ、楽器がイカレた?と思ったら、イカレたのは演奏者の手(手首?)のほうだった……(楽器の方を先に心配してしまうのは、リュート弾きならではのリアクションだ……反省)。つったらしい(これってプロならでは?弾きすぎ?)。で、演奏ストップで前半終了。後半はその頓挫した部分から再開。で、後半プログラムも3曲を終えたところで予定になかった休憩。ベズノシウクは曲の合間に数回、手を振り払うしぐさをしていた。なんとも痛々しい感じで、もう最後の「守護天使」(パッサカリア)のヴァイオリン・ソロ(これは実に美しい曲だけれど素人目にもかなり難しそう)などは、頼むから弾ききってくれよ〜という感じで、会場の多くの人が祈るような気持ちで応援していたのでは?うーん、なんともめずらしい状況だ。

でも、1曲目の「受胎告知」などは、テオルボ(キタローネ)とヴァイオリンによる実に感動的な演奏だった。これは名演か、と思われた矢先の上のトラブルのせいで、聴いているこちらも微妙に落ち着かなく集中しきれなかった。ちょっと残念。これまた渋くキタローネを弾いていたのはポーラ・シャトーヌフという女性奏者。小柄なためにキタローネがやたらでかく見える(笑)。今回は6台ものヴァイオリン(調弦がそれぞれ違う)を用意しての公演。13日と14日の午後に、それぞれ東京と兵庫で全曲版+朗読の公演が予定されているけれど、そちらはチケットは完売だったような……。(画像は彼らが出しているその全曲CD)。