西欧の本草学へ

偽バルトロメウス『ハーブについて』(Ps. Bartholomaeus mini de senis, “Tractatus de herbis”(cura : Iolanda Ventura, Sismel, 2009)が届く。ブリティッシュ・ライブラリー所蔵のロンドン写本だそうだけれど、モノとしてはサレルノに伝わる治療術の一つとしての本草学の概説書らしい。まだちゃんと序文に眼を通してはいないのだけれど、どうやら13世紀後半以降、おそらくは14世紀直前ぐらいに書かれたものらしいという。サレルノには古くからそういう本草学の伝統があったようで、この書にも、偽アプレイウス『草木論』(Herbarius)や、13世紀以後広く流布したという『救急法』(Circa instans)などからの引用が散見されるらしい。同じく13世紀後半から普及するアヴィセンナなどの学術的な薬学の影響はないともいい、大学などとは別の、並行医術的に拡がっていた可能性もあるらしい。うーむ、なんとも面白そうな話でないの。サレルノそのものもやはり一枚岩ではない感じだし、西欧の本草学自体もなかなか深そうで、これはちょっとじっくり見ていきたいところだ。今年の冬読書はこれかな(笑)。