命題の理論?

アラン・ド・リベラの『空虚な参照–命題の理論』Alain de Libera, “La référence vide – Théories de la proposition”, PUF, 2002)を読み始めているところ。例の分析哲学系のトロープス理論(個物として諸属性のみの実在を認めるというもの)との絡みでアベラールを論じている箇所を先に見ていたら(なるほど分析哲学系の人たちがアベラールをトロープス理論の先駆として読み直しているという動きがあるわけね……ド・リベラはそれに違和感を表明している)、いろいろ略語とか同書内部でのお約束ごとがあるため、結局頭に戻って読み進めるしかないということになり、そんなわけでまだ全体像が今ひとつ見えないのだけれど、最初の方の章を導いているのはフレーゲの「第三の王国」の話(意味というものが、叡智界に独立して存在するという立場)で、その源流を中世の論理学・存在論に考古学的に探ろうということらしい。12世紀の逸名著者による「アルス・メリドゥーナ(Ars Meliduna)」などが取り上げられている。6回の講演をもとにしたものということだけれど、普遍論争の源流を探っていく前の『一般性の技法』に続く感じだ。さらに最近の『主体の考古学』(2巻目が昨年出た)にもつながる話のようだし、ちょっとしばらく読み進める予定。