再びテオフラストス(『植物原因論』第二巻)

Théophraste Livres I et II: Les Causes Des Phénomènes Végétaux (Collection Des Universités De France)引き続き読んでいるテオフラストス『植物原因論』(Théophraste Livres I et II: Les Causes des Phénomènes Végétaux (Collection des Universités de France), trad. Suzanne Amigues, Les Belles Lettres, 2012)。第二巻がようやく読了手前。この第二巻は、植物の生育状況の差がどのような原因によって生じているかをテーマとしている。土地や水分、気候などが影響するのは、第一巻でも記されていた通り。もちろんバランスが重要という見識は全体を貫いており、諸条件は良すぎても悪すぎてもいけないとされる。面白いのは、ある程度悪条件であるほうが、植物の生育には好都合だという捉え方。たとえば水は植物にとって必須だが、多すぎると発育が阻まれ、実もならない。水はむしろ少ないほうが、生育のためには好都合であり、ある種のストレスがかかるほうがよい、といった話が繰り返し強調されている。また、たとえば実を豊かに成らせるには、そうした諸条件を適切にコントロールすればよいとして、人為的な介入の可能性が繰り返し示されてもいる。それに則って栽培法・農法の話が展開していくことになりそうだ。