「カルデア神託の周辺(プセロスなどを読む)」カテゴリーアーカイブ

「カルデア教義の概要」- 2

/ Εἶτα ἔστιν ὴ νοητὴ ἴυγξ· μετὰ δὲ ταύτην οἱ συνοχεῖς, ὁ ἐμπύριος, ὁ αἰθέριος καὶ ὁ ὑλαιος. Μετὰ δὲ τοῦς συνοχεῖς, οἱ τελετάρχαι· μετὰ δὲ τούτους, οἱ πηγαῖοι πατέρες, οἱ καλούμενοι καὶ κοσμαγοί· ὧν ὁ πρῶτος ὁ ἅπαξ ἐπέκεινα λεγόμενος· μεθ᾿ ὅν ἡ Ἑκάτη, εἶτα ὁ δὶς ἐπέκεινα· μεθ᾿ ὃυς τρεῖς ἀμείλικτοι· καὶ τελευταῖος ὁ ὑπεζωκώς. Σέβονται δὲ καὶ πηγαίαν τριάδα πίστεως καὶ ἀληθείας καὶ ἔρωτος. Φασὶ δὲ καὶ ἀρχικὸν ἥλιον ἀπὸ τῆς ἡλιακῆς πηγῆς καὶ ἀρχαγγελικὸν, καὶ πηγὴν αἰσθήσεως, καὶ πηγαίαν κρίσιν, καὶ κεραύνιον πηγήν, καὶ πηγὴν διοπτρῶν καὶ χαρακτήρων πηγὴν ἐπιβατεύουσαν τοῖς ἀγνώστοις συνθήμασι· καὶ πηγαίας ἀκρότητας, Ἀπόλλωνος, Ὀσίριδος, Ἑρμοῦ. /

/次に知解しうるイユンクス(神の名)が来る。続いて集約者、つまり燃えさかるもの、エーテル的なもの、物質的なものが来る。それら集約者の後には、儀礼を司る者が来る。続いて父なる源泉、「世界を司る者」とも呼ばれるものが続く。その第一のものは「超越的な唯一者」と言われる。続いて来るのがヘカテーで、次に「超越的な二者」、その後に冷酷なる三者、そして最後に腰回りを覆うものが来る。また、彼らは信仰、真理、愛の三対の源泉を崇めている。また、太陽の源泉から出でる支配的太陽と大天使、感覚的なものの源泉、源泉的な判断者、雷の源泉、鏡の源泉について述べ、諸性格の源泉を未知の表徴に盛り込んでいる。さらに崇高なる源泉、すなわちアポロン、オシリス、ヘルメスが来る。/

口上

口上が後先になってしまったけれど、カルデア神託をめぐるミカエル・プセロスの書をいくつか読んでいく(訳出していく)ことにする予定。底本にするのは、フランスのベル・レットルから出ている『カルデア神託』(“Oracles Chaldaïques”, trad. E. des Places, S. J., Les Belles Lettres 1971-2003)の付録部分。カルデア神託は2世紀のユリアノス(カルデアの)もしくはその息子(魔術師とあだ名された)が収集し書き起こしたものとも言われるものの、実際のところの著者は不明。新プラトン主義の人々(イアンブリコスとかプロクロスとか)によって引き合いに出されるも、文書自体は現存しておらず、様々な著者が引いている断片が残るのみとなっている。内容も「三対」「世界霊魂」「知性」「天使」「コスモス」などなどのモチーフが織りなす、とても興味深いもの。

一方のプセロスは11世紀のビザンツの著名な文人・政治家。コンスタンティノポリスで1018年に生まれ、1078年(もしくは1082年)に没している。なんといっても、擬古文で著作を残し、古典ギリシア語の復権に一役買った人物。代表作『年代記』などが有名だけれど、哲学的著作も小品など多くのテキストを残している。で、一説によるとプロクロス経由(プロクロスによる註解が11世紀ごろまで残っていたという)で知ったらしいカルデア神託について記したテキストがいくつかある。重要なものは『カルデア神託註解』、『カルデア教義の概要』、『カルデア人の古代信仰概説』。一つめが一番長く、あとの二つは小品。ここではまず、小品から訳出していくことにしようかと。余力があれば『註解』そのものも扱いたいが、ま、それは先の話。そんなわけで、ポルピュリオス『命題集』の訳出はちとお休みかな(笑)。

ちなみに

「カルデア教義の概要」- 1

Τοῦ αὐτοῦ Ψελλοῦ ἔκθεσις κεφαλαιώδης καὶ σύντομος τῶν παρὰ Χαλδαίος δογμάτων

Ἑπτα φασι σωματικοὺς κόσμους, ἐμπύριον ἕνα καὶ πρῶτον, καὶ τρεῖς μετ᾿ αὐτὸν αἰθερίους, ἔπειτα τρεῖς ὑλαίους· ὧν ὁ ἔσχατος χθονιος εἴρηται καὶ μισοφανής, ὅστις ἐστὶν ὁ ὑπὸ σελήνην τόπος, ἔχων ἐν ἑαυτῷ καὶ τὴν ὕλην ἣν καλοῦσι βυθόν. Μίαν ἀρχὴν τῶν πάντων δοξάζουσι, καὶ ἓν αὐτὴν καὶ ἀγαθὸν ἀνυμνοῦσιν. Εἶτα πατρικὸν τινα βυθὸν σέβονται, ἐκ τριῶν τριάδων συγκείμενον. Ἑκαστη δὲ τριὰς ἔχει πατέρα, δύναμιν καὶ νοῦν. /

「同じくプセロスによる、カルデアの教義に関する要点的かつ簡潔なる説明」

物質的世界は七つあると彼らは言う。まずは第一の燃えさかるものがあり、その次に三つのエーテル状のものがあり、続いて三つの質料的なものがある。そのうちの最後のものが地のもの、明かりを嫌うものと言われる。それは月下世界であり、深淵と彼らが呼ぶ物質をみずからのうちに宿している。彼らはすべての始まりは一つであると信じ、それを一者および善として讃える。次に彼らはなんらかの父なる深淵を崇める。それは三つの三対から成り、三対のそれぞれは父、力、知を擁する。/