プセロス「カルデア古代教義概説」 – 2

4. Μετὰ δὲ τὰς ἴυγγας προσεχεῖς, φασίν, οἱ συνοχεῖς· καὶ αἱ μὲν ἴυγγες τάς ἀφθέγκτους αὐτοῖς ἑνώσεις τῶν πάντων ὑφιστᾶσιν, οἱ δὲ συνοχεῖς τὰς προόδους τοῦ πλήθους τῶν ὄντων ἑνίζουσι, μεταξὺ τῶν νοητῶν καὶ τῶν νοερῶν κέντρον τῆς ἀμφοτέρων κοινωνίας ἐν ἑαυτοῖς πηξάμενοι.

5. Προσεχεῖς δὲ τοῖς συνοχεῦσι τοὺς τελετάρχας τιθέασι τρεῖς καὶ αὐτοὺς ὄντας· ὧν ὁ μὲν ἐμπύριος, ὁ δὲ αἰθέριος, ὁ δὲ ὑλαρχης. Εἰσὶ δὲ αἱ μὲν ἴυγγες μονάδες μόνον, οἱ δὲ συνοχεῖς μονάδες ἤδη προφαίνουσι τὸ πλῆθος, οἱ δὲ τελετάρχαι μονάδες διῃρημένον ἔχουσι τὸ πλῆθος.

4. 彼らが言うには、ユンクスの後に続くのは「包摂するもの」である。ユンクスはみずからのために、あらゆるものから成る、言葉にできない統一を作り上げる。一方の「包摂するもの」は、存在の多数性への過程を作り上げ、知解対象と知性との間にあって両者に共通する中心を、みずからのうちに定める。

5. 「包摂するもの」に続いて、彼らは「司るもの」を置く。それらも三つあり、それぞれ火界(天上界)、エーテル界、物質界を司る。ユンクスは端的に単独(モナド)だが、「包摂するもの」はすでにして複数性を示すモナドであり、「司るもの」は区別を多数もったモナドである。

中世思想史のデカ盛り?

年末に出た、スコトゥス研究者八木雄二氏の新刊『天使はなぜ堕落するのか – 中世哲学の興亡』(春秋社、2009)は、一般向けにかみ砕いて説き明かした中世思想史への入門書だった。細かな点にこだわるというより、マクロな面での要衝を押さえようとする向きにはとても分かりやすい一冊。複数の著者による共同執筆の入門書ではこうはいかない。やはり入門書って、単独での著書のほうが、たとえ取りこぼしや偏りはあったとしても、断然個性的で味わいもあるなあ、と。で、本書の場合、どこかテイストが堀田善衛『ミシェル、城館の人』(集英社文庫)あたりに似ている気がする。堀田氏の描くこのモンテーニュ一代記を「小説」とするならば(昔そういう区分けになっていたはず)、この八木氏の新刊も、ある種の「小説」と見なしてもいいかもしれない……なんて(笑)。それほどに筆の運びが快調に滑っていく感じだ。

そして随所に光るオリジナルな視点の数々。普遍論争の唯名論・実在論の話が、そのまま世俗の大学と教会の対立にスライドしていったり、アンセルムスからトマスへといたる思索の限界を指摘してみせたり、一般通念とは逆に、トマスの特殊性が中世哲学の見通しを逆に悪くしているのではないかと述べてみせたり。トマスの批判者として括られるのが一般的なスコトゥスにしても、その先駆者であるオリヴィを介して眺めれば、フランシスコ会的な伝統に意外なほど忠実だということになるのだという。通説を疑ってかかり、ひっくりがえしてみせるところなど、なんとも「反・中世哲学」的でワクワクさせてくれる。新年早々のお薦め本かも。たとえて言えば、美味しい要素をふんだんに詰め込んだデカ盛りというところ(600ページ近い大部なのだけれど、一気にかきこんで食べることができ、お得感いっぱいなので(笑))。

領域横断

昨年4月に発足したという西洋中世学会の機関誌『西洋中世研究』(販売:知泉書館)創刊号を取り寄せてみた。目次を見るだけでも、かなり多岐にわたったラインアップであることがわかる。創刊号ということで、歴史・哲学・美術史・音楽史などの現状報告・研究動向に重きを置いた紹介という趣き。ほかの学会誌に比べて、図版が多数収録されて(一部はカラー!)華やかな印象も(笑)。個人的には中世哲学関連の報告もさることながら、音楽史関連の論文二本が注意をひく。カリクストゥス写本って、例のサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼ガイドが入っている文書っすね。ガイド本は4巻目で、5巻目が楽譜なのだとか。また、修道女らの読書の問題を扱った論文も個人的には興味深い。そういえば、前から思っているけれど、思想史とそうした書物史・媒体史とかを結びつけるような研究ってやはりあまり見あたらない気が。こうした領域横断的な学会の誕生で、そういう風変わりなアプローチなども促されていくと面白いのだけど。うん、今後にも大いに期待しよう。

マルキオンダのギター

昨日取り上げたCDの奏者、マルキオンダ氏の演奏がYouTubeにあったので転載しておこう。収録曲の中でもひときわ印象的な(リフレインが耳から離れなくなった(笑))K 474を弾いている。

ギターアレンジ:スカルラッティのソナタ

スカルラッティというと、今年は親父のアレッサンドロがメモリアルイヤーなのだけれど(生誕350年)、今回はその息子(6番目の子だという)ドメニコ・スカルラッティ。このソナタをギターアレンジにして弾いている一枚を聴く。D.Scarlatti: Sonatas Arranged for Guitar / Stephen Marchionda [SACD Hybrid]。演奏はシュテフェン・マルキオンダ。普通のクラッシク・ギター奏者はあまり知らないのだけれど、アメリカのギタリストらしいっすね。自身によるアレンジなのだとか。古楽器ではないので、「びよんぼよん」と現代的な明朗な音が響き渡るし、全体にテンポが遅めの設定で、ちょっと古楽的な感じがしないのだけれど、でも確かにバロック的なテイストは随所に感じられるかも。音質自体はとても口当たりがよいし。うーん、なんだかオリジナルの鍵盤楽器での演奏が聴きたくなる(って、それはいいのか悪いのか……(笑))。