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お試し:文献管理ソフト

ボチボチとは読んでいるものの、いろいろため込んでいるPDF文献(笑)。Acrobat Readerがバージョン10になって注釈機能が付いたことで、「書き込みしながら読む」みたいなことを多少ともバーチャルでできるようになり、とても重宝しているのだけれど、いかんせんダウンロードしてくるPDFはファイル名も雑多で、どれがどの論文だったか混乱してくる。というわけで、PDFの管理ソフトを試してみることにした。以前から少し噂を聞いていたMendeleyPapersあたりがやはり定番らしいので、とりあえず試してみる。で、結論から言うと、どちらも一長一短という感じ。

前者はとりあえず無料版。共同作業を視野に入れたソーシャル志向のツールという感じか。実際、オンラインサービスにアカウントを作る必要がある(無料だけど)。また、フォルダを指定しておくと、それを監視して自動的に登録してくれる機能などが便利そうではある。wordのファイルなんかも登録できる。まだそれほど長時間試してはいないのだけれど、内蔵ビューワの動作が若干怪しいときがある。日本語フォントに変な記号がくっついていたり、英文でもレイアウトがちょっとイカれていたり。これに対してシェアウエアの後者は、作りは結構しっかりしている気がする。ローカルにあるファイルを読み込んでMatchボタンを押すと、Google Scholarでもって検索をかけ、該当するものがあれば書誌情報などを取り込んでくれる。wordのファイルは登録できないような気がするが……。ま、ドローバックというほどのものでもないけれど。Mendeleyが内蔵ビューワで直接マーキングできるのに対して、Papersのほうは外部でAcrobat Readerを呼び出す必要があったりとかもする。このあたりはちょっと惜しいところかも。両者ともUIは結構似ているが、そのモデルになっているのはやはりiTunes。音楽のバラ売りと論文のバラ売り(無料のものも含めて)は、確かにパラレルな動きではあるわけだし、インターフェース的に似てくるのもある意味当然かもしれないけれど、いずれにしても(以前iOSについても言ったけど)こういうインターフェース面で一種のパラダイムを作ってしまうところがAppleの実に個性的なところだということを、今回もまた強く感じさせられる……。

……で、個人で楽しむ私のようなユーザからすると、案外Papersのほうがしっくりくる気がする。表示のバグも見あたらないし、シャアウエア代払ってもいいかなあ、なんて。

OmegaT

先にBentenがちょっと合わないという話をしたけれど、今度はそのベースにもなっている翻訳メモリツール、OmegaT(オメガテと読むのだそうだ)を試す。これはインターフェース的にちょっと良いかも(笑)。翻訳する原文が広く見渡せるのが良い感じ。起動すると最初に簡単な使い方ガイドが示される。翻訳作業を開発プロジェクトと見なして、翻訳する対象も用語集も出力も同一フォルダで管理しようというわけだ。ふむふむ。さっそくそのお試しも兼ねて、アフロディシアスのアレクサンドロスの『知性論(De intellectu)』(クレモナのゲラルドゥスによるラテン語訳)の訳出を初めてみた。暇を見て進めるつもり。ソースをラテン語にし、ターゲットを日本語に設定して読み込むと、分節ごとに表示されるので、それを訳して次に進む。西欧語のものは皆、ピリオドで区切って分節に分けているみたいで、ラテン語ものでもとくに問題はなし。用語集は自作するしかないみたいだけれど、一度作れば流用できそう。ま、繰り返しの多い文章なら絶大かも>翻訳メモリ。

ただ、これはあくまで「始めにテキストありき」の場合向け。電子化されていない文書を打ち込みながら同時に訳してくというようなタイプの作業では、これはうまく使えない感じ。書籍などはOCRで読み込むなんて手もあるけれど、読み込んだ後の修正作業の手間を考えると、印刷ページ見ながら直接訳し出していくほうが速いんじゃないかあなあ、と。

ガジェットたちと安易さと

このところ、世間的にはもうすっかり定着しているものの個人的には「新しい」というガジェットの数々(笑)をいじって試している。EvernoteとかTwitterとか……やっと人並み?まだどういう用途を目指すのがいいのかわからないのだけれど、いじりながら見ていくしかないかなと。Evernoteは基本的にはクリッピング保管庫。携帯で書籍のページを撮影して画像を載せておくと、その画像内の文字列で検索がかけられる。ちょっとしたOCRの代わりみたいなことができるのだけれど、うーん、こういう外部記憶を多用しすぎると、自分でメモして脳裏に焼き付けるということをしなくなる感じもあるなあ。人は安易な方へと流れていきがちだし……。そういう安易さを売っているところが(最初は無料で使えるけれど、基本的には商売なので)なにやら少しあざといような……(苦笑)。

Twitterは、パソコンで少しばかり見ているうちはまったく手を出す気になれなかったのだけれど、携帯やiPod Touch(あるいはiPhone)のクライアントツールで眺めていると、世間的にこれだけ騒がれたわけがなんとなく理解できる(気がする)。今さらだけれど、基本的にはRSSの延長みたいな感じっすね。RSSを使って相互にやり取りができるみたいな。RSSもブラウザで見るよりはRSSリーダーで読む方がよいのと同じ理屈か。RSSは全文表示だとむちゃくちゃ長いとか、ダイジェスト表示だと場合により何の話なのかすらわからないなんてことが起こりうるのだけれど、なるほど、これを140文字で制限したというのが絶妙なのか。この長さ、クライアントツールで見るにはちょうどよいもんねえ。でも、やっぱりこれも安易な方に流れていきそうで……下らない無意味なツィートをついつい流してしまう……。ちなみにアカウントはtwitter.com/sxolastikos。あまり面白くもないでしょうけれど、フォローとかよろしくです。

もう一つ、翻訳支援ツールBentenも少し触ってみた。プログラミングの開発環境(Eclipse)でもって、翻訳メモリ(つまり定形的な訳語の蓄積)などの機能を活かして翻訳しましょ、というものなのだけれど、このどこか一対一対応的な発想から抜けていないところが個人的には今一つ。文単位で訳していきましょうというわけなのだけれど、ときには二文をくっつけたり、一文を分けたりするようなことだって、まったく不要というわけではないし、訳語だって、定形のものばかり当てはめていくより、どんどん言い換えていく方が読みやすい文章になると思うし。ま、マニュアルみたいなバリバリの技術系文書の翻訳にならある程度使えるかもしれないけれど、本来はより柔軟であるはずのマーケティング系の文書の翻訳にはちょっと厳しい気がする……。この二つ、本来は全然スタンスが違うのに、ごちゃまぜにしている企業とかやたら多いよなあ。これもまた安易な方への流れ?うーん、エントロピーの増大か。先の『時間と生命』ではないけれど、秩序を作るにはやはりそれなりのエネルギーが必要……。

ハイブリ狂騒曲

ついにソフトバンクの100%子会社になるというウィルコム。そのウィルコムのが今年の1月くらいに出して3月には出荷停止になっていたHybride W-ZERO3(ハイブリ)が、半年ぶりに再販売になるというので先月末予約した。PHSと3G(ソフトバンク網)の両方が使えるというスマートフォン。ところがこれが結構なクセものだった(苦笑)。昨日からサービスが始まっていたものの、オンラインサインアップ後、通話機能に問題浮上。発信はできるものの着信が異様に不安定な状態になった。最初、固定電話からも別の携帯からもかからず、着信音すら鳴らない状態だった。かけた側では「おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波のとどかない場所にあります云々」というメッセージが聞こえてくる。でも本体はちゃんと電源も入り、アンテナだって4つ立っているのだけどねえ……。しばらくすると5、6回に1回くらいかかったりもした。その後、本体を何度かリセットしたりもしたけれど改善せず。ハイブリは3G感度が悪いというような話は前から聞いていたけれど、どうせパケットもPHSだけで3Gは使わないからとのんきに構えていたら、なんとまあ肝心の通話機能がダメという不意打ち……(苦笑)。

で、結局昨日はいろいろ作業とか用事もあったので、その後はあまり触れることができず、今日ようやく時間が空いたのでファクトリーリセット(完全消去で出荷状態に戻すというやつ)をかけてみたところ、着信の不安定さはとりあえずなくなったみたい(?)。やれやれ。まさか使用2日目でファクトリーリセットする羽目になるとは思わなかったなあ。でもやはり、PHSに限っても感度はあまりよくないようで、前の電話(アドエス)よりも通話できる場所というか範囲というかが限られている感じがする。一方、パケット通信自体は案外安定しているみたいで、今のところさほど問題は感じられなかったりもする。

epwing再び

ちょこっと部屋の整理をしたら、数年ぶりに『ロワイヤル仏和第二版』の付属CD-ROMが出てきた。だいぶ前に古いwinマシンでepwing化したものを未だに使い続けているのだけれど、当時変換に使ったのはフリー版のEBstudioで、前方一致のみ検索可。その後の『ランダムハウス英和』は有料版での変換だったのかどうか忘れたけれど、和英としても使える出力になっている(笑)。そんなわけで『ロワイヤル』も変換し直すかなあと思ってWebを見ると、昔の変換ツールのサイトはリンク切れ。pdic変換スクリプトはまだサイトがあるので、それでpdic化してからEBstudioで変換する手はある。ちょっとやってみたのだけれど、やはりちょっとアクサン文字の扱いが……。できれば別様にepwing化したいところ。他の方法としては、FreePWINGによる変換があり、これはUnix系で、あらかじめいくつかツールをインストールしておかないといけないみたい。ま、時間があるときにUbuntuあたりでやってみることにしよう。

電子書籍が注目されている昨今だけれど、epwingはまじでもう下火なのか……個人的には悪くないと思うのだけれど……。一応余談的メモ。ドイツ語は、フリーの和独辞典WaDoKu(独和としても使える)がまだダウンロードできる。イタリア語はフリーで出ているGiappitalixのpdic版をEBstudioで変換すればよい。スペイン語はpdic版がシェアウエアで出ている(これは未インストール)。アラビア語もpdic版(フリー)が出ている(未インストール)。