2004年04月25日

Alain

「およそ芸術作品ならいつでも、思想はかならず作品から出てくるので、なにかある思想から作品が出てくるなどということは、決してないものだ」

アラン『音楽家訪問』
杉本秀太郎訳、岩波文庫

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタをめぐって、アランほか5人がかなり自由奔放にくっちゃべるという『音楽家訪問』。ハ長調は何の不安もない状態、ト調は子どもの無邪気さ、ニ調は心の成熟を表し、ホ調は神の調……云々。こういう印象批評もいいところの恣意的解釈には思わず笑ってしまう。けれどもところどころ、味わい深い珠玉の言葉がちりばめられている。上は第5章からだが、例えば第6章の出だしも。「物の相違は美しい。存在は多様であるからこそ美しい」。

投稿者 Masaki : 2004年04月25日 11:33