新緑の季節はゆっくりと本を読みたい。というわけで、またまた新刊の備忘録。
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まずはついに出たかという感じの簿記の成立史らしい本。これは期待大。
- 『中世イタリア複式簿記生成史』(橋本寿哉著、白桃書房)
- 『チョーサーの自然』(石野はるみ著、松籟社)
- 『マージェリー・ケンプの書』(石井美樹子ほか訳、慶應義塾大学出版会)
- 『中世ヨーロッパの教会と民衆の世界』(野口洋二著、早稲田総研クリエイティブ)
- 『パニュルジュの剣』(折井穂積著、岩波書店)
- 『十二世紀ルネサンスの精神』(甚野尚志著、知泉書館)
- 『マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝』(私市正年著、山川出版社)
イギリス関連もまだ続々刊行中という感じ。チョーサーについての本は「自然」概念についての研究かしら。マージェリー・ケンプは14世紀から15世紀にかけての各地を巡礼した英国の女性の自伝。自伝というジャンルの嚆矢だという話。
続いて民衆史関連。一つめのはヴォルムスの司教ブルカルドゥスの贖罪規定書を読み解くというもの。こうした史料の研究はなかなか興味深そう。もう一つは「ラブレーなどの新しい読み方」が宣伝文句になっている。これも見てみたいところ。
思想研究としては次のこれ。再びソールズベリーのジョンの研究。
ちょっと脱線になるけれど、マグレブの中世文化というのも見てみたい。
私市氏は,今回の著作に関連するものでは,新書で『イスラム聖者』という著作も既に書かれています.数年前に日本の(主に前近代の時代を対象としている)イスラーム史関係者は,大稔哲也氏などが中心となって聖者研究を重視するような体制になっていたのですが,(私市氏の著作を例外として)著作単位での成果とはなっていないのかもしれません.
ありがとうございます。『イスラム聖者』は96年刊の講談社現代新書ですね。個人的にはスーフィズム界隈に多少の関心があるのですが、研究動向を追うみたいなところにまでは至っていません(苦笑)。