24人の哲学者の書

これまた懸案だった『24人の哲学者の書』校注版(“Le livre de vingt-quatre pilosophes – résurgence d’un texte du IVe siècle”, trad. Françoise Hudry, Vrin, 2009)を読み始める。これ、テキスト自体は12世紀から13世紀に成立したものとされ、24人の哲学者が、集まった席で「神とは何か」という問いをめぐって議論し、最後にその24人が自分の定義とその説明をしたものを、そのうちの1人が報告したという体裁を取っている。定義と説明と、とても簡素な断章形式で綴られている。その校注版テキストと、それに先立つ論考から成るのがこの本。訳・校注のフランソワーズ・ユドリーの論考はまだ途中までしか見ていないけれど、その24の定義と説明について、もとになった出典をかなり詳細に追っていてすばらしい。断章形式はポルピュリオスの『命題集』を意識したものらしいともいう。全体として、ポルピュリオスの同書や、失われた著作(『哲学史』なるもの)も含むその他の著書、著者不詳らしい『パルメニデス注解』、『カルデア神託』、プロティノスなどが、合わせ鏡かエコールームかのように反響し合っている感じ。さらに4世紀のマリウス・ウィクトリアヌスのテキストとも共鳴するのだという(これが論考の後のほうで重要になっていくようだ)。うーん、この細やかな対応関係には思わず唸ってしまいそうだ。