これまた「書物復権」サマサマという感じでゲット。高津春繁、関根正雄の両雄の共著『古代文字の解読』(岩波書店、1964-2010)。この手の文字解読の歴史みたいな本は今でこそいろいろ出ているけれど、なんのなんの、碩学二人の手になる本書はなにやら今なお燦然と輝いている感じだ。エジプト聖刻文字、楔形文字、ヒッタイト文書、ウガリット文書、ミュケーナイ文書のそれぞれについて、最終的な解読に至るまでの間、様々な学究たちがどのようなアプローチをしかけ、どのような仮説を提出したかが、実に事細かく紹介されていく。一般向けということで平易な文章なのだけれど、その実に多岐にわたる紹介は圧倒的だ。クリシェだけれど目くるめく一大絵巻のようで、いつのまにやら引き込まれてしまう(笑)。うーむ、こりゃ素晴らしい。白黒ながら図版も多数。