年末はザ・シックスティーン

クリスマスから新年のこの時期は、やはり宗教曲がよく合う。というわけで今年の一枚は、ザ・シクスティーンによる『ヘンデル:ディクシット・ドミヌス、ステファーニ:スターバト・マーテル』(Handel : Dixit Dominus: Christophers / The Sixteen steffani: Stabat Mater)。実はこれ、去年の暮れくらいにゲットしてずっと積ん聴(というか埋まっていた……)だったりしたもの。一年後に聴けて、しかも聴いていて幸せな気分に浸れるという個人的にはまさに感動もの(笑)の一枚となった。演奏するのはハリー・クリストファー率いるザ・シックスティーンも久々だけれど、当然ながらそのクオリティの高さは言うことなし。収録曲はアゴスティーノ・ステファーニ(1654 – 1728)の「スターバト・マーテル」と、ヘンデルの最初期のころの「ディクシット・ドミヌス」。ステファーニってよく知らなかったのだけれど、ヘンデルより多少歳の行った、ほぼ同年代の作曲家。6声による華麗な教会音楽なのだけれど、どこか「音のある静謐」という矛盾形容を想わせる(?)素晴らしい作品だ。ヘンデルのほうも、これは後年のものよりずいぶんと若々しい、どこか複雑で挑戦的な曲想。こちらは5声。