現地では20日夜の放映だったFrance 2の夜8時のニュース。そこで取り上げられたフランスの救助隊に関するレポートがちょっと酷い。内容はこんな感じ。フランスは震災後ただちに120人体制の救助隊を派遣し、13日には仙台に到着していた。ハイテク装備だったらしい。ところがほとんど仕事らしい仕事はできなかった。一つには、救助犬の投入を衛生上の理由から日本側が認めなかったため。救助隊は遺体の収集という作業を依頼された。二つめは、折からの原発事故で、放射線リスク回避のため(どうやらフランス大使館の指示で)救助隊は三沢基地に退避することになったため。それで日本側と揉めて、結局は活躍しないまま帰国の途についたのだ、と。ここから先は記者の現地取材になるのだが、記者は救助隊がほとんどいないことを強調し、また、京都から来たという救助隊の一行が、センサーやソナーなどを使わず、竹の棒でつついて生存者を捜しているのが驚きだと述べている。さらに、被災者は自国の政府にも見捨てられたように感じて、瓦礫の中でただ泣き暮らしていると結んでいる。総じて、日本は遅れているとでもいいたげなレポート。
だけれど、現場では電源を確保できず、燃料不足で発電機も使えないような状況だということをこの記者は完全にスルーしてしまっている。というか故意に言い落としている感じなのだ。なぜかというと、このレポートの映像はビデオ撮影ではなく、フィルムで撮っているわけで(という印象だった)、当然記者は電源確保の難しさを認識しているはずだから。結びの、被災地の女性が泣いている映像も二,三日前のレポートの使い回しだし、このあたり、とても作為的な取材だということがよくわかる。フランスの救助隊が活躍できない理由についても、放射線リスクに関しての判断はまったく彼らの側の問題なのに、日本側の対応のせいだといわんばかりだ。自分たちのプシコーズ(集団的不安)を人に転嫁するなんて(フランスにはよくあることだが)、誠実な取材とは到底言えない。現地に救助隊が少ない理由についても、弱さを見せたがらない国民性(自尊心)などを挙げているが、そういう安易な精神論(これも十分クリシェだ)をかざして、ロジスティックの問題などを指摘していないという偏り方。というわけで、現場に対応できたのかどうか微妙な(装備として、ということだが)救助隊を持ち上げ、被災地をクリシェで代表させ(泣く女性)、相手国政府の対応を批判してみせるという、なんともつまらないまとめ方。放射線が怖くて大阪に逃げて、ハラキリだカミカゼだと騒いでいた某記者といい、ずいぶん堕ちたなフランス2。