強風のもとで

野暮用で田舎に行かなくてはならず、でもまあ前日の爆弾低気圧の日でなくて良かった良かった、などと思いつつ東北新幹線に乗ったら、低気圧はまだあたりをうろついていて、その影響で新幹線は仙台の手前の白石蔵王駅で3時間以上立ち往生。倒木と架線にビニールが絡まったという説明だった。車内アナウンスの微妙な情報錯綜感が現場の混乱ぶりをうかがわせていた。こちらの予定も大幅に狂った。JR側は結局新幹線のドアを開け、仙台に急ぎの用事がある人たちはそこで降りてタクシーで向かったようだった。けれども、さらに先の場所に用がある人たちは、私も含め、ひたすら待つしかなかった。こういうこともあるから、やはり車内に持ち込む本というのは必要だ。今回はちょうど文庫二冊が入れてあったので、かろうじて退屈をしのいだ(ま、ネットも見たりしていたのだけれども)。

持ち込んでいたのは若桑みどり『イメージの歴史』(ちくま学芸文庫)と伊藤博明『ルネサンスの神秘思想』(講談社学術文庫)。出先なので内容面の具体的な話を記す余裕がないし、まだ通読に至っていないのだけれど、全般的な印象だけ述べておくと、どちらも一種の概説書でありながら、サービス精神あふれる(?)細かな記述と様々な所見が開陳されて、なにやらリッチな読書を味わうことができる。概説書の醍醐味は、扱う分野やテーマについて発展性のあるヒントを与えてくれるところだと思うのだけれど(明示的に与えられる場合もあれば、後から思い起こしてヒントだったと思う場合もあったりと、いろいろなのだけれど)、この二冊はどちらも十二分にそうした期待に応えてくれていそうな気がする。