アルヴォ・ペルトにハマる

ペルト:フラトレス(兄弟)/フェスティーナ・レンテ/スンマフランスあたりだと夏至は音楽祭なんかをやったりするので、こちらもそれにあやかって、少し遅ればせだが今日は久々の音楽ネタ。個人的にこのところハマっているのがアルヴォ・ペルト(1935〜、エストニアの現代作曲家)。これがなかなか味わい深い。基本的には同一音型の反復を多用するミニマル・ミュージックなのだが、バロックもののような音型の多用とか、対位法的な作り方、落ち着いたテンポなどなど、どこか懐かしい包容力のある音楽という感じがする。宗教曲はもちろん、それに限らず全体的に、どこかコズミックなイメージを喚起する。というわけで、CDもいくつか集中的に買ってみた。たとえば室内楽『ペルト:フラトレス(兄弟)/フェスティーナ・レンテ/スンマ』(8.553750)。古楽アンサンブル用の楽曲ながら、みずからいろいろな編成用にアレンジしているのだそうで、ナクソスのCDでは77年のオリジナル(管楽八重奏と打楽器のための)から92年版(ヴァイオリンと弦楽、打楽器のための)までが入っている。さらに78年の「スンマ」や88年の「フェスティナ・レンテ」も収録されている。

Part: Tintinnabuliペルトは70年代以降の自作の様式をティンティナブリと呼んでいるのだそうだが、ちょうどタリス・スコラーズが新譜『ティンティナブリ(Part: Tintinnabuli)』(CDGIM 049)でペルトを取り上げている。声楽でもそのミニマル感は残っているし、さらにいっそうコズミックな響きを連想させる。今年の「ラ・フォル・ジュルネ」でも演目として取り上げられていた82年の『ヨハネ受難曲(Passio Domini Nostri Jesu Christi Secundum Joannem)』(8.555860)も同様に秀逸。こちらはトヌス・ペルグリヌスによる演奏。そして極めつけの『鏡の中の鏡‾ペルト作品集(SACD)(Arvo Part:Spiegel im Spiegel)』(8847)。1978年の作品で、このSACDではヴァイオリン&ピアノ、ヴィオラ&ピアノ、チェロ&ピアノの3バージョンが収録されている。美しい旋律の繰り返しが、どちらが主旋律でどちらが伴奏なのか判然としないまま、微妙に交錯したまま並走していく。なんとも絶妙(NHK FMの「きらクラ!」でも昨年何度か取り上げられていた)。YouTubeでは、田舎の雪景色を走る列車の車窓の映像と合わせたもの(下参照)とかが出ていたりする。これもいいけれど、個人的にはやはり新緑のころ、あるいは晩夏ごろの田舎の山道を走るバスの車窓の眺めへのBGMにしてみたい、と思ったり(笑)。

Passio Domini Nostri Jesu Christi Secundum Joannem

鏡の中の鏡‾ペルト作品集(SACD)(Arvo Part:Spiegel im Spiegel)