今週は多少連休向け読書もしているものの、個人的には通常通りの読みものも読み進めないと気分が悪い(笑)。そんなわけでとりあえず、ガレノスの『治療法論』から第7巻を見ているところ(まだ半分程度)。底本はLoeb版(Method of Medicine, Volume II: Books 5-9 (Loeb Classical Library), ed. I. Johnston & G. H. R. Horsley, Harvard Univ. Press, 2011)。この第7巻というのは、それまでの個別的な理論からいったんまとめにシフトような体裁になっていて、経験論者、方法論者、教条論者といった当時の各派を批判しつつ、ヒポクラテスへの原点回帰を持ち出して、いわゆる理論としてのディスクラシア(異混和)について語っている。すなわち温冷乾湿の4態のアンバランスから疾病が生じるという理論。アリストテレスにも見られるそうした理論を、ガレノスはここで現実に即したかたちで割と丁寧に取り上げていて、バランスを取り戻すための方策についても論じている。たとえば温冷よりも乾湿の不均衡が対応が難しいとし、温浴やミルクの摂取などを勧めていたりする。ガレノスの理論志向がよくわかる一章という感じだ。