やっぱりティマイオス

プラトンの対話編で押しはこれ


 数年ぶり、何度目かになりますが、プラトンの対話編から『ティマイオス』を再読しました。対話編からどれか1編押すとしたら、個人的にはやっぱり『ティマイオス』ですね。これ、対話編というかほとんどモノローグですが、読むたびにいろいろな発見もあって妙に刺激を受けます。今回はレクラム文庫のギリシア語版。

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 なぜそんなに良いのかというと、一つには、そこに世界というものを全体として掌握したいという人間の性<さが>のようなものが見受けられるからでしょうか。書かれた当時の思想的伝統と、制限的な知識のなかで、ひたすら推論とイマジネーションを積み重ねて万物の移りゆきを説明しようとする、人間のひたむきさ、饒舌さ、放漫さ(ある意味での)などなど……。ああ、人間ってこういうものだな、昔から変わっていないのだな、という感慨。それはまた未来への希望でもあると思うのです。

 そんなわけで、個人的におすすめの『ティマイオス』です。