wowowで少し前に放映された、ヴィム・ヴェンダーズの『Perfect Days (2023)』を録画で観ました。ああ、これは個人的に好きなタイプの、とても静かな映画ですね。淡々と繰り返される日常。動きが本質をなしている映像が、こうした繰り返しを描くと、逆説的にといいますか、ある種の静謐さが漂ってくる気がします。
https://www.imdb.com/title/tt27503384/
個人的に好きな、ジャームッシュの『パターソン』([[Paterson (2016)]])も同じような感触を与えてくれる一本です。いずれの作品も、基本は日々の繰り返しが描かれるのですが、そこに多少の波風、あるいはノイズのようなものが到来し、その日常的な繰り返しは多少とも乱されたり、ずれたりして行きます。それでも大きな事件などは起きず、ただそれらの微妙なずれが、どこか味わい深い陰影を作っていく、という感じになります。
https://www.imdb.com/title/tt5247022/
どちらの映画も、主人公がちょっとしたこだわりの趣味(カメラだったり、詩作だったり)、あるいは芸術的行為を日課としている、というのも共感のポイントです。同じものは一つとしてなく、無限の差異が紡がれていく、と。これは先日の『スモーク』もそうでした。
映画で静謐さを描くには、一つにはこうした繰り返しが効果的だと思われますが、ほかにはどのような方法があるのでしょうか。そうした方法論がなにやらとても気になります。少し考えてみたいところです。