アマプラに入った『侍タイムトリッパー』を観てみました。序盤は昔のドリフのギャグみたいな感じで少し乗れない感じでしたが、途中から俄然面白くなりました。クライマックスの「真剣勝負」は迫力満点の見事な出来ですね。
https://www.imdb.com/title/tt32277931/

作品はメタ要素を入れてコメディやSFなどとのクロスオーバーみたいな感じになっていますが、テーマとしての時代劇のありようを、殺陣という要素から考察しているような感じも悪くありません。で、なにより良いのが、主人公のストイックさでしょうか。最近の時代劇の主人公に共通するキャラ設定です。これぞまさに時代劇の王道、という風でもあります。
フランスで公開が始まって好評だという『碁盤切り』の主人公も、まさにそんな感じでした。刀を振り回すだけが時代劇ではない、というところに力点があるように思われるストーリー展開も魅力的です。囲碁の因縁の決着は、やっぱり囲碁でつけないと、みたいな。これもジャンルとしての時代劇に、その本来の面白さの本質はどこにあるのかを考察した末の、一つの回答という感じです。ちなみにこれ、imdbのデータベースでは英語題名が『Bushido』でエントリされていますね。
https://www.imdb.com/title/tt31522349/

これも最近アマプラで観ましたが、少し前の『仕掛人・藤枝梅安』(2部作)もいいですね。こちらも静謐な画面構成などが見事です。池波正太郎の原作ですが、なんともストイックな、それでいてときに荒々しい主人公を中心に、刀を振り回すだけではない新感覚時代劇という感じになっています。バディものとしての面白さもあります。とくに第2部のほうですが、刀を振り回す相手に、基本的に接近戦でなくては対応できない仕掛人がどう対応するのかが、逆に見どころになっていたりもします。
https://www.imdb.com/title/tt24076340/

考えてみると、西部劇なども近年のものほど銃撃のアクションは少なくなっているように思えます。ジャンルが深まるというのはこういうことなのかもしれませんね。より思索的・自己考察的なっていく、というか。そういう流れで新しい作品が作られていくことは、個人的にはむしろ大歓迎です。