「すべての人間は尼僧である」

あまり意味はないのだけれど、ちょっと箴言めいたものとかも、適当に集めてみることにしようかと。で、その一つめは先に挙げたサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』から、「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」の末尾に出てくる印象的な一文。主人公が仏語話者ということで、「Tout le monde est une nonne」となっている(らしい)。サリンジャーの小説は説明するとなると難しいので、あえてここでこのセリフについてどうこう言うのは控えるけれど、なんだか妙に腑に落ちるセリフという気が……(笑)。

ひっかかるのはnonneという言葉。仏語辞書とか引くと、ふざけて言う言葉みたいに載っている。でもこれたしか、クレチアン・ド・トロワあたりにあるんじゃなかったっけ……と思ってDictionnaire du Moyen Français(Larousse)とかを見ると、やはりそう。nonneの形の初出は、やはりクレチアンらしい。ヴィヨン(15世紀)の例も載っている。教会ラテン語のnonnaが元ということだけれど、ドイツ語では現代語でもNonneで普通に使われ、とりわけふざけるようなニュアンスはないらしい。うーん、こういう言葉の成立史みたいなところを追っかけていくのも面白そうではある……。