2004年05月29日

Girard

「ロマン主義者は真に孤独になりたいとは望まない。彼は自分が孤独を選択するところを見られたいのである」

ルネ・ジラール

ジラール『地下室の批評家』(織田年和訳、白水社)所収のカミュ論から。西永良成『<個人>の行方』(大修館書店、2000)の序論で引用されていたのをきっかけに、元のテキストを見てみた。孤独と社会生活との両方を渇望するカミュは、きわめてロマン主義的なのだという。ところがそういう他者による魅惑はなかなか意識には登らない……。孤独がいや増すといっそう他者への欲求も強くなっていくのだとしたら?『<個人>の行方』では、これが例えばトクヴィルのテーゼ、「不平等が軽減されれば、いっそう不平等の重みに耐えられなくなり、いっそうの平等を求めるようになるという平等の逆説」へと連結されたりもする。

投稿者 Masaki : 2004年05月29日 17:58