2007年01月29日

クールダウンはハイドンで

昨日は1年ちょっとぶりでリュート発表会。今回も参加。曲は足かけ2年半ほど取り組んできたフランチェスコ・ダ・ミラーノもので、リチェルカーレ2曲。相変わらず緊張して途中から手が微妙にふるえぎみになるも(笑)、それでもなんとかおしまいまで弾けたので、とりあえずはよしとしよう(自己満)。趣味で習う音楽演奏の良いところは、多少の失敗は当たり前なところ。実生活でこれほどミスって笑って過ごせるのは、ほかにそうはないからなあ。そういう意味でも発表会は貴重な機会だ。もちろん「次回はもっとうまく」と毎回密かに決意するわけだけれど(笑)。今年はルネサンスリュートはスペインものに行きたいところ(ビウエラ曲か)だし、ひたすら基礎練習に励んでいるバロックリュートも、そろそろ曲をちゃんと弾けるようになっていきたいところ。

さてさて、発表会が終わればクールダウンに何か聴きたい。で、今年は、リュートの師匠から前に話を伺ったリンドベルイによるハイドンのリュート曲を。「リュートと弦楽のための全作品」がそれ。CD単体ではもう売っていないみたいなのでiTunesで購入する。録音のデータを手元に持っていたい気がしたので個人的には購入したが、ストリームだけでよければNaxosのライブラリにもある(http://ml.naxos.jp/?a=BIS-CD-360)。うーん、いい時代なんだかそうでないのか、よくわからんが……。それはともかく。ハイドンがリュート(おそらくはジャーマン・テオルボでしょうね)を用いる曲を書いていたというのがすばらしい。実際、通奏低音だけじゃない形で、リュートが他の弦楽器にからんでいくところがいい。「カッサシオン変ロ長調」「カッサシオン・ハ長調」「弦楽四重奏曲8番」(これは別人によるリュート四重奏曲に編曲されたものなのだとか)そして「リュート・ソナタ」。どれも絶妙で味わい深い。

投稿者 Masaki : 15:51

2007年01月23日

リンドベルイのヴァイス

ヤーコブ・リンドベルイが16世紀のオリジナル楽器(!)で弾く『ヴァイス--リュート音楽』(BIS-CD-1524)。ヴァイスの有名な代表作を集めた一枚。シャコンナ・変ホ長調、ハ短調ソナタ、ロ短調ソナタ、イ短調ソナタ「異教徒」(「不実な女」という訳は採用しません(笑))などなど。リンドベルイの演奏はそれほど速くないテンポで歯切れのよい音作り。結果としてほかとはまたひと味違う、透明感溢れるヴァイスになっていて、結構新鮮だ。また、演奏可能なものとしては現存するうちで最古のバロックリュート(1590年、シクストゥス・ラウヴォルフ作)の音が、これまたいい。もともとは7、8コースのルネサンスリュートなのだそうで、1715年に一度修復されているとか。ネックもそのときのものだろうというが、共鳴板(表面版?)はオリジナルのものなのだとか。2月にエマ・カークビーとともに来日リサイタルがあるようだけれど、そのときに使用するのも同じリュートだそうだ(詳しくはこちら)ルネサンスチューニングで演奏するらしい。なるほどもともとがルネサンスリュートなのだから、そういう芸当も可能というわけか。ルネサンスチューニングのほうが負荷がかかるわけで。でも、個人的には来日リサイタルでも、バロックチューニングでヴァイスを弾いてほしかった気が……全部ソロで(笑)。

ちなみに上のCD、メディアとかライナーが不要ならば、iTunesでも購入できる(アルバムで買うならこちらが断然安い)。うーん、おそるべし、iTunes。ていうか、もうそういう時代なんだねえ。

投稿者 Masaki : 20:03

2007年01月15日

年明けに相応しい(?)--シャルパンティエ

正月明けからいきなり忙しくて、あまりまとまった余暇が取れない。そんな中、断続的に聴いているのがこれ。コンセール・スピリチュエルによるシャルパンティエ『8声のミサ&テ・デウム』(Glossa)。指揮は当然、エルヴェ・ニケ。いや〜、これもまた名盤と呼ぶに相応しいかも。ちょっと断続的に聴くのはもったいない。たっぷり時間を取って味わいたいところ。というか、新年の第一弾をこちらにすれば良かったかなあ、と。それほどに見事な音の伽藍が醸し出される。いきなり感動作で、ガツンと食らったような気分だ。

収録されている8声のミサ曲と8声のテ・デウムは、いずれも1670年にシャルパンティエがローマからパリに戻ってからのもので、サン・ルイのイエズス会士たちのために書かれたものだという(ライナー)。前者は1671年のフランチェスコ・ボルジアの列聖式に際して練り上げたものとの説、後者は1672年のオランダでの王立軍勝利を祝うものとの説が取り上げられている。

ライナーの中には、最近見つかったものだとされる水彩のシャルパンティエの肖像というのが載っている。ネットにも転がっていたので転載しておこう。所蔵はフランクフルトの大学図書館。
charpentier_portrait.jpg

投稿者 Masaki : 23:26

2007年01月04日

オルガン世俗曲

今年の年越し(笑)CDは、これまたオルガン曲集と相成った。『享楽の園(Hortus voluptatis)』(Hortus 029)。ルネサンスもので(16世紀)、フランスを中心とする世俗曲のオルガン用アレンジ曲集からの選曲。演奏はジュリエット・グルレティ=ボスヴィエルという奏者。ライナーによれば、使用されているオルガンはムニエ製作(1979年)のフランシュヴィル教会のもので、特に古い楽器のコピーというというわけではないそうだが、ルネサンス時代の技術革新(レジスタメカニズムの導入)を寄せ集めたもの。調律はミーントーン。曲目は、まさにシャンソンのオルガン用アレンジ。セルミジとかジャヌカンとか。楽譜出版者だったアテニャンによる曲集や、1550年頃のミュンヘンの出版譜などが中心。これまたライナーによると、当時のオルガン向けアレンジは3種類に大別されるのだそうで、1つめは声楽曲をカデンツァや装飾以外は忠実になぞるタイプのもの。セルミジやジャヌカンのアレンジ譜はこのたぐい。2つめはもとの曲に音を加えたりしてメロディラインを変えてしまうもの(ただし曲の構造自体は変えない)。カベゾンやアンドレーア・ガブリエリなどのアレンジがこの類に属する。3つめは曲の構造すら変えてしまうというもので、これは時代的にも後になるようだ。ジロラーモ・カヴァツォーニ、ニコラ・ド・ラ・グロットなどが代表的とか。CDの収録曲では、これらの様々なアレンジが楽しめる。必ずしももとの曲を知らなくても、オルガン技法の独特な雰囲気を味わうだけでも意外に面白いかも。

投稿者 Masaki : 23:37