これはキワモノだけれど、ある意味「歴史的」な盤かもしれない(?)。ウラディーミル・ヴァヴィロフ&サンドル・カロスの『ルネサンス・リュート音楽』(Renaissance Lute Music)という一枚。録音は前半が1970年(ヴァヴィロフ)、後半が1975年(カロス)。この両者、ロシアの古楽復興に一役買ったギタリスト・リューテニストなのだけれど、特にこのヴァヴィロフはいわくつき。ルネサンス期の作曲家の名前で自作を発表しまくっていたというのだ。ウィキペディアのエントリにもあるけれど、ダ・ミラノとされる「カンツォーナ」、カッチーニとされる「アヴェ・マリア」、ニグリーノとされる「リチェルカーレ」などはこの盤にも収録されている。ほかにも、ノイジドラー作となっているシャコンヌなども、まったくもって当時の様式ではなかったりする(笑)。うーむ、ここまでやるとは、ある意味あっぱれか?(苦笑)。でも、偽作指向というのは共感しないでもないのだけれど(個人的に偽書とか作りたいし)、ならば時代的な様式などもじっくり研究しないと。こんなにテキトーでは困るよなあ。ま、1960年代くらいだとちょっとそれは酷かという気もしないでもないが……。
というわけで、ちょっとキワモノ好みな方にはお薦め(苦笑)な一枚か。後半のカロスは、結構渋い録音かも。全体としてはソロだけでなく合奏もあって、そのアレンジ加減なども含めて多面的に楽しめる。