すでに先月号だけれど、久々に『現代思想』誌を購入。特集は「<数>の思考」。とりわけ数学史がらみの論考が、期待に違わず面白い。斎藤憲「エウクレイデス『原論』の整数論」は、同書が比例論を整数論に持ち込む試みだったのではないか、という着眼点で論を進める。三浦伸夫「中世西欧における数概念の拡張」は、14世紀イタリアの算法教師たちによる三次方程式の解法をめぐりつつ、すでに当時、分数や負の数、ゼロ数、さらには無理数などへと数が拡張されて、普通に使われていた様子をまとめている。但馬亨「数・量概念の変遷と近代数学の発展」は、さらに後の16世紀以降の、高次方程式ほかの展開を追うというもの。とりあえずこのあたりに目を通す。普段接することのない数学史だけに、なにやらとても新鮮かつ刺激的。エウクレイデス(ユークリッドですね)のテキストや、その西欧での普及史なども押さえておきたいところだなあ、と。