F2のニュースでも取り上げていたけれど、ミシェル・オンフレの新刊(なにやらすごい数出している(笑)。最近はテレビにも結構出ているようで、なんだか昔のBHLっぽくなっているような……)はフロイトをやり玉に挙げたものだそうだ。あれ?でも前には精神分析とか結構評価していたんじゃなかったっけ?ま、読んでみないとわからないけれど、そのニュースの中のインタビューで本人が言っていることから推察するに、どうやらフロイトの言行不一致を問題としてあげつらっているものらしい。古代ギリシア的な理想として、思想というのはそれを抱く人を律してしかるべきもの、というのがオンフレの基本的スタンスだったと思うけれど、そこからすると言行不一致などもってのほかということになるのだろう(その意味では、中世思想に関心を抱くような奴がオンフレを訳すというのももってのほかかもしれないが……(苦笑))。でも、そういう「思想家の言行不一致狩り」に始終してしまうのなら不毛。それならむしろ、精神分析が使うツールとか概念とかに直に切り込んでいくほうがよっぽど面白いし、生産的なはず(って、なんだかガタリとかを思い出すが……)。あるいは学知の体系が組み上げられる過程を攻めるとか、なにかそういう方向を期待したいところなのだけれど……。精神分析なども立派に学知として成立しているわけで、そうなるとそこにはいろいろな制約が設けられているのは必定。で、制約を嫌うオンフレのようなキャラクターなら、そういう制約こそ突破してほしい。ただ噛みつくだけでは到底揺るがないものだろうから、なおさら周到なアプローチで……。