聖書学

新潮社が出している季刊誌『考える人』2010年春号を書店で見かける。ちょうど復活祭だからというわけでもないのだけれど(今年は東方教会も同じ日なんですね)、特集が「はじめて読む聖書」で、とりわけ聖書学者の田川建三氏のインタビューに惹かれて購入。田川氏というと、個人的には以前読んだ大部の『書物としての聖書』(勁草書房、1997)が結構記憶に残っている。今回のインタビューは同氏の研究者としての軌跡がかなり詳しく述べられている。とりわけザイール大学への赴任のくだりが印象的。帝国主義というものを肌で感じ、それによってヘレニズム世界がどういうものだったかという推察につながったというあたりが鮮烈だ。世界的なスケールと反骨精神をもった聖書研究者としての素顔の一端が垣間見える。すばらしい。氏の最近の著書も読んでみることにしよう。