配信ドラマ振り返り

(bib.deltographos.com 2023/12/29)

昨日に引き続き、今度は2023年に観た配信系のドラマ(洋物が中心)を振り返っておきたいと思います。今年は映画がいまひとつ不作で、どちらかというと、ドラマに優れた作品との出会いが多かった一年でした。まずはディストピアもの2シリーズ。一つは『ステーション・イレブン』(2021〜22)、もう一つは『ザ・ラスト・オブ・アス』(2023)

どちらも文明崩壊後を描いた壮大な作品。前者は滅亡直後と、その数十年後のタイムラインを、交互に、錯綜させて描いていました。こういう手法、最近よく見かけますが、本作はとあるコミック本がタイムラインを貫いて、登場人物たちを引き寄せていきます。そこがとても秀逸でした。

後者のほうは、ゲームが原作で、ペドロ・パスカルが抗体をもった少女と旅をしていきます。なんだか『マンダロリアン』と重なってくるのですが(そちらもペドロ・パスカル主演ですもんね)、話はこちらのほうがはるかにダークです。『マンダロリアン』も第3シーズンがありました。スターウォーズ関連ではほかに『アソーカ』もありました。そちらはまだ話の途中な感じですけどね。

次はスタートレック関連。まずは『ピカード』第3シーズン。これぞ観たかったTNGの正統な続編という感じでした。前の2つのシーズンは、ちょっとダレた気もしますが、この第3シーズンはまさに王道を見事に極めてくれましたね。個人的には、Voygerのジェインウェイ艦長も観たかったですねえ。あと、年末にかけて、『ストレンジ・ニュー・ワールド』が配信されたことも、大収穫です(これはまだ視聴途中)。スタートレック難民からやっと少しだけ脱却です。パイク船長、若いスポックのほか、クルーの面々がいい感じです。

もっと社会派なドラマとしては、『ザ・ディプロマット』が秀逸でした。英国に赴任することになった大使と、その食わせ物の夫、それらを取り巻く個性的な人々が織りなす群像劇で、中東で起きたあるヤバい一件をめぐって、様々な工作をめぐらしていきます。ギャグ満載。続編も期待できそうです。外交関係がらみでのアクションものでは、『ナイト・エージェント』が、既視感はありありでしたが、それでもぐいぐい引っ張っていく感じで印象的でした。

期待していたのにちょっと残念だったのは、マイク・フラナガンの『アッシャー家の崩壊』。ポーの諸作品を巧みに取り込んで、話を膨らませていましたが、少しとっちらかってしまった印象です。もっとストレートでもよかったかな、と。あと、これも残念だったのが、『キングダム・エクソダス』ですね。ラース・フォン・トリアーの伝説的ドラマの、24年ぶりの続編ということでしたが、かつてのドラマの、何が起きるのか予測できない不穏な感じがすっかりなくなっていて、ちりばめられるブラックなギャグも、単なる悪ノリにしか見えず、また、前のドラマのメタ的な構成とかも失敗している感じで、個人的にはいまひとつでした。