今週はちょっと中休み。そんなわけで念願の「デューラー版画・素描展」(@国立西洋美術館)に足を運ぶ。日中のせいかあまり人もおらず、ゆっくりと見て回れた。今回の展示の目玉はなんといっても第一部の宗教画の連作。木版画の「聖母伝」「大受難伝」は言うに及ばず、「小受難伝」も描写の差異などがとても興味深いし、「銅版画受難伝」の細やかさも素晴らしい。芸大美術館の「黙示録」の連作を見逃してしまったのがやや悔やまれる、か(苦笑)。第二部の肖像画では、唯一の木炭画「ある女性の肖像」の写実性に打たれる(笑)。あと、ど迫力の「マクシミリアン1世の凱旋門」。文字通りの紙による建造物。こういうのが平然と出版されていたというのが凄い。また、本来は凱旋門に連なる連作「凱旋行進」の最後の部分だったものが、後に別作品として独立したものだという「マクシミリアン1世の凱旋車」も感動もの。各所に散りばめられた寓意の数々、なかなかに豪勢だ。第三部自然では「リュートを描く人」と「『人体均衡論』」が書の形での出展。しめくくりは国立西洋美術館所蔵の「騎士と死と悪魔」「メランコリアI」「書斎の聖ヒエロニムス」という有名どころ3連打。全体としては、メルボルンのヴィクトリア美術館の所蔵品と、国立西洋美術館の所蔵品とが大半を占めている。遠近法の妙を楽しむもよし、写実性に改めて驚くもよし、線画の細やかさに見入るもよし、といろいろに楽しめる。もちろん、15世紀末から16世紀初めの歴史に思いを馳せるもよし。