現在、来月岩波書店から出ることになっているジャン=ピエール・デュピュイ『ツナミの小形而上学』の邦訳(拙訳)が校正段階に入っている。現在鋭意作業中。原書は100ページ強の小著ながら、自然災害と人的災禍(戦争、テロなど)の垣根を取っ払い、両者に共通する「悪」を再考し、それをパージするための抜本的な方途(脱構築的な)を探ろうという一冊。ルソー、ヴォルテール、ヨナス、アーレント、そしてギュンター・アンダースなどが主な登場人物(笑)で、それらをたたき台にして議論が展開される。岩波にしてはめずらしい(?)、3月の震災を受けてのいわゆる「緊急出版」のため、全体的にどこか突貫工事的な作業となった。話をもらってから引用されている書籍などを一気に集めたてみたものの、訳出作業のためだけに引用箇所を確認したり読み飛ばしたりするだけではあまりにもったいないので、少し私見をまじえつつ改めて諸問題を整理してみたいという気がしている。少し長いスパンで考えていきたいところ。取りいそぎ、今回は予告だけ(笑)。
ちなみに原書はこちら↓
Jean-Pierre Dupuy, “Petite métaphysique des tsunamis”, Seuil, 2005