カポディモンテ@上野

昨日だけれど、暑い最中の上野は国立西洋美術館で、「ナポリ・宮廷と美 – カポディモンテ美術館展」を見る。80点と少なめの展示なせいか、比較的短時間でぐるっと一周できる。でも展示内容はなかなか。前半はイタリア全般もの。入ってすぐのコレッジョ「聖アントニウス」とか、ティツィアーノ「マグダラのマリア」とか、続くグレコの「燃え木でロウソクを灯す少年」とか。絵画のほか、素描、コレクションもとのファルネーゼ家の工芸品などもあって、もうちょっと点数があったらもっと面白かったろうなあなんて思いつつ巡る。後半はナポリのバロック絵画。個人的には、ジェンティレスキの「ユディトとホロフェルネス」が生で見れたのが嬉しいかも。この「斬首場面」はもう端的に臨場感溢れるド迫力。ユディトの絵はもう一つあったけれど、それとは全然印象が違う。うーむ、クリステヴァの『斬首の光景』を再読してきたくなったのだけれど(単純だなあ)、例によってどこに積まれたか不明な状態……(苦笑)。

スアレス研 – 閑話休題

クルティーヌ『スアレスと形而上学の体系』の読みは夏をまたいでしまったが、とりあえず第五部はスアレスは再び後景に退き、むしろ同時代から後世への思想的布置の中に、形而上学、とくに存在論がどう成立しどう位置づけられるのかを多面的に論じている。とりわけ中心的に出てくるのは、オントロジーという用語を初めて使ったとされるゴクレニウス(16世紀末から17世紀初めごろのドイツのスコラ学者)と、その形而上学の下位分割を理論的に用意したとされるペテリウス(スアレスと同時代人で、ローマで教鞭を執っていたとされる)。また、17世紀初頭の形而上学の体系化に大きく寄与した人物として挙げられているのはクレメンス・ティンプラー(同じくドイツの神学者)。ほかにもいろいろ個人的には知らない名前がたくさん出てきた。なかなかに興味深い。とはいえスアレスそのものの話から離れてしまっているので、そのあたりは割愛。また、続く章ではスアレスとデカルト、スアレスとライプニッツといった話も出てくるのだけれど(影響関係というわけではない)、さしあたり同じく割愛(苦笑)。

というわけで、秋(まだ夏という感じだけれど)からは、スアレス絡みということで、ヴァンサン・カローの『原因すなわちラティオ』あたりを読んでいこうかなあ、と。あと、オリヴィエ・ブールノワの『存在と代示』とかも。詳しくはまた今度。