地方の書店……

親の葬儀と、さらには認知症初期という感じになっている残されたもう片親を引き取るために丸二週間ほど田舎に戻った。急な事態だったのでほとんど何ももたずに駆けつけたのだけれど、意外に葬儀にいたる段取りにおいては空き時間が結構あり、書籍の一つや二つ持参すればよかったとやや不謹慎ながらも思うことしきりだった(苦笑)。で、葬儀が終わってすぐ、市内にあるジュンク堂に駆け込んでいろいろ物色し、勢いで大学書林から出ている『ガリア戦記』第一巻(遠山一郎訳注、2009)を購入する。もちろんLoeb版の羅英対訳とかもあるけれど、羅日対訳本はとても嬉しい気がする。ラテン語の習い始めごろに一度はかじるガリア戦記だけれど、改めて読んでみるとこれがなかなか面白い。部族の駆け引きやら政治関係やらが結構艶めかしくて刺激的だ(笑)。書籍としては学習者向けの対訳本で、教材としていろいろに配慮されているのがとてもよい。昔の大学書林の対訳本とは違い、適切な長さで見開き一課という体裁になっている。どの語がどの語にかかっているかとか図示されていたりして、そのあたりも心憎い。この本のおかげで、いろいろと面倒な後半の週もなんとか乗り切ることができた……のかな?

それはともかく、ジュンク堂はいいのだけれど、一方で昔市内にあった代表的某本屋の凋落ぶりは目を覆いたくなるほどだった。というか、その本屋がある商店街自体がかなり落ちぶれている。シャッターとまではいかないものの、かつての賑わい(ほんの20数年前くらいまで?)はまったく失われてしまっていた。その当の書店も、かつては三階まであって専門書や多少の洋書などを入れていたものだったが、今や二階までしかなく(三階には英会話教室みたいなテナントが入っている)、ターゲット層も完全に中学・高校で、受験参考書やマンガが置かれているだけ。あとはほんの少しだけ、公務員試験の参考書がある程度。まったく特徴のない本屋になってしまっているのがとても悲しい。