今年はヘンデルイヤーでもあるわけだけれど、最近はあまりヘンデルは聴かない……凄いメロディ・メーカーではあるのだけれど、なんだかあまりにストレートすぎて繰り返し聴くという気にならない……なんて思っていたら、ザ・シクスティーンの新譜『戴冠式アンセム集(”Coronation Anthems”)』はなかなか渋くていい感じ(ハリー・クリストファー指揮)。これは思わず繰り返し聴く(笑)。UEFAのチャンピオンズ・リーグでアレンジ版が使われている「司祭ザドク」ほか4つのアンセム(1727年のジョージ2世と王妃キャロラインの戴冠式用)は、どれも勇壮な雰囲気。さらにオルガン協奏曲ヘ長調やその他の収録されていて、ちょっと面白い構成になっている。
Handel: Coronation Anthems, Oratorio “”Solomon”” HWV.67 -Arrival of the Queen of Sheba, etc / Harry Christophers, The Sixteen
このところ季節の変わり目のせいか、いまひとつ体調が……(苦笑)。そういうとき、やはり個人的にはリュートものを見聞きするのが活力剤になる。というわけで、またもYouTubeをずらずらと。で、今回のお裾分けは再びロバート・バルトのリュート演奏から。今度はヴァイスのソナタ36番ニ短調からアルマンド。バルトが毎年ナクソスから出しているソナタ集の第8集に収録されているもの。うーん、渋いぜ。
うーむ、5月の連休開催の今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭はバッハ特集ということで、リュート演奏とかも期待していたら、登場するのはエグエスだけで、しかも先行販売の段階であっという間に売り切れ。チケットgetならず残念(T T)。今日から一般販売開始だったのだけれど……。先行販売で売り切れるような販売方法ってなんだかなあ。今年は日数とか演奏回数とか若干縮小されているのもなんだかなあ。ま、そちらは景気後退のあおりですかね。プログラムも本国フランスはナントの同音楽祭は、同じバッハ関連でもたとえばブクステフーデのカンタータとか集中的に組んだりしたようだけれど、東京版はちょっとおとなしくメジャーな曲が多い印象(っていうか、文化受容の強度の差とか?(笑))。
ま、気を取り直してリュートもの。最近、YouTubeでリュート演奏をずらずらブラウズすることが多いのだけれど、これも結構ピンキリで楽しい(笑)。プロからアマチュアまで、みんな頑張っているなあ、うまいなあ、という感じ。とりあえずの一番のお気に入りは、いくつかアップされている重鎮ロバート・バルトの渋い演奏。ヴァイスとかロイスナーとか。というわけで、ロイスナーの名曲、パッサカリア・ニ長調を貼り付けておこう。
タルティーニとくれば、定番は「悪魔のトリル」ことト短調ソナタ(Op.1 No.4)。とはいえあんまり聞く機会はないけれど……(苦笑)。で、そんな中、パラディアンズというユニットの録音『悪魔のトリル–タルティーニのソナタ』を聴く。これはなかなか秀逸な演奏では?個人的にリファレンスがそう多くあるわけでもないけれど、収録されている表題作のト短調ソナタは情感たっぷりで、いやがおうにも引き込まれる。うーん、素晴らしい。以前、アンドリュー・マンゼとかの無伴奏での演奏とか聴いたときには、個人的になんだか今ひとつ盛り上がらんなあ、という感じだったのだけれど(失礼)、それからすると今回はまるで違っている。このユニット、元はレイチェル・ポッジャーとかが91年に結成したアンサンブルだったそうで。なるほどね。ほかの収録曲もとてもいい。「知名度はより低いけれどむしろより非凡な成果」とライナーに謳う「捨てられたディドーネ」ことト短調ソナタ(Op.1 No.10)も、その言に違わぬパフォーマンス。ほかは、若かりし頃のタルティーニが圧倒されたほどのヴィルトゥオーゾだったというヴェラチーニのソナタ(参考という感じの収録)と、再びタルティーニにもどって、より「軽妙」とされるイ長調ソナタ(Op.1 No.13)など。ちょっとお薦めかもね。
The Devil’s Trill / Palladians [SACD Hybrid]
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