ソル・フアナ

フェミニズムの黎明


 またまた光文社古典新訳文庫から、ソル・フアナ(フアナ=イネス・デ・ラ・クルス)『知への賛歌』(旦啓介訳、2007)を読了しました。17世紀のメキシコの女子修道会に在籍していたフアナの、韻文詩数編と、自伝的な書簡二通を収録した作品集です。

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文学、そして学問の才をもつことを自覚しつつ、周辺の人々が寄せる様々な世俗的感情(悪意など)に必死に抗いながら、そうした才を花開かせようと孤軍奮闘する姿が、目に浮かぶようです。神学的な知識の該博さもさることながら、女性が活躍することをなかなか認めない社会に向けて、なんらかの状況打破を希求しているところなど、まさにメキシコでのフェミニズムの嚆矢というふうです。これも読み応えのある、素晴らしい一冊です。