「古楽・ルネサンス以前」カテゴリーアーカイブ

リュートtube 7 – 「牛を見張れ」

昨日は毎年恒例のビウエラ講習会。ナルバエスの「O gloriosa domina(おお、栄光の聖母よ)」から第二ディフェレンシアで参加。まだ取りかかったばかりなのであまりうまく弾けず、ちょっと顰蹙だったかも(いつものことだが……笑)。これの一連のディフェレンシアは10年くらいかかってもいいから全部ちゃんとできるようになりたいもんだなあ、なんて思ったり。ナルバエスといえば、「皇帝の歌」とかもあるけれど、一番ポピュラーなのはやはり「牛を見張れ」でしょうかね。YouTubeにもギター演奏とかがいろいろあるけれど、多くは前半までの短いバージョン。実は後にさらにディフェレンシアが続く。というわけで、そのロングバージョンから。演奏はヴァレリー・ソヴァージュという人。プロというわけではないみたいだけれど、YouTubeにはいろいろな曲がアップされていて参考になる(笑)。さすが古楽の世界では、プロに限りなく近いような人がゴロゴロいらっしゃたりする(チェンバロなんかは最たるものなのだとか)。こちらもそういう方かしらね。

リュートtube 5

今回はダウランドの「蛙のガリアード」。これも名曲よね。いくつかヴァリエーションがあるといわれるけれど、これはたぶん一番よく知られているバージョン。YouTubeではなぜかギターで演奏している映像が多い。でもこちらはちゃんとリュートで弾いている。YouTube上のリュートでの「蛙のガリアード」に関する限り(というか検索できたうちでは)、演奏の美しさではほぼ最強かな(笑)。弾いているのはTrond Bengtsonというノルウェーの奏者。すばらし〜。

リュートtube 4

久々にリュートtube……ていうか、今回はリュートではなく厳密にはビウエラtube(笑)。アロンソ・ムダーラの名曲、ファンタシア10番を、英国のギター奏者・リュート奏者のジュリアン・ブリームの演奏で。冒頭、クラッシクギターの製作の映像が流れるけれど、いやいやだまされてはいけない。音はビウエラのもの。途中からブリームの演奏の映像になる。右手の斜め上からのアップがいいねえ。それにしてもこの使用しているビウエラ、なにやらやけにデカイんでないの?

ギタルラ・エスパニョーラ

ちょっと今更という感じもないでもないが、一応取り上げよう(笑)。このところ改めて聴いているのが、ホセ・ミゲル・モレーノの『ラ・ギターラ・エスパニョーラ – 1536-1836』(Glossa)。とりわけ前半のビウエラ曲(ナルバエス、ミラン、ムダーラ、ロペス)の、大陸的な哀調たっぷりの演奏は素晴らしい。ナルバエスの「皇帝の歌(Cancion del Emperador)などは、やはりこれくらいのスローテンポがベストマッチ。最近の奏者はもっと早く弾くけれど、時になんだかなという感じがしなくもない。やはりこれぞ正統派という感じ(笑)。逆にムダーラの「ファンタシア10」などが疾風のように駆け抜けるのもさすがというか、なんとも見事。もちろん後半のバロックギター(ムルシア、ゲロ、サンス)や古典・ロマンティックギター(ソル)も、実に典雅な響き。CDそのものは2004年に出たものだけれど、国内版が2008年に出ている。でもま、そろそろ入手しづらくなってきているかも(最近、本もCDも購入可能な期間が一段と短くなっている気がする……うーん、いかん傾向だ)。

スペインのギター音楽第1集~1536年-1836年の作品/ホセ・ミゲル・モレーノ

ついでに、第二集としてソルやタレガなどのギター曲集も出ている。
La Guitarra Espanola Vol II (1818-1918) / Moreno

カルミナ・ブラーナ新盤

クレマンシック・コンソートによる35年ぶりの『カルミナ・ブラーナ』新録音!もちろんオルフのではなく、ブラヌス写本の原曲。いや〜、これまたすばらしい。堪能。非常に端正なピケットのニュー・ロンドン・コンソートによる全曲録音とはまったく違う方向性で人気を二分していたクレマンシック・コンソートの35年前の録音は、世俗的な祝祭感覚満載だったけれど、今回もその世俗感覚は健在。とはいえ年月のせいか、少しおとなしくなったというか洗練されたというか、端麗さが増した感じも。

いやー、それにしても最後の3曲なんかの盛り上がりは最高。CB185「Ich was ein chint so wolgetan(私はおとなしい娘でした)」のサビ「Hoy et oe, / maledicantur thylie / jusxta viam posite」、CB200 「Bache, bene venies(バッカスよ、ようこそ)」のサビ「Istud vinum bonum vinum, vinum generosum, / reddit virum curialem probum animosum」なんかは耳について離れない。ついいっしょに歌ってしまう(笑)。締めのCB196「In taberna(居酒屋で)」も実にいい。やはりこういう酒の歌が個人的にはお気に入り。ラブレー的世界に乾杯。

Carmina Burana -Original Version by Codex Buranus of 13th Century / Rene Clemencic, Clemencic Consort [SACD Hybrid]