corpus hermeticumよりーー音楽の喩え 9 – 10

とりあえず、ヘルメス選集XVIII章冒頭の「音楽の喩え」部分から、末尾を訳出しておく。その後の部分は次のようなかたちで神の称賛が続く。まず神は発芽や実りをもたらす太陽に喩えられ、次いで今度は父親に喩えられる。子供たちをあえて褒め称えることはしないが、子供たちの努力を静かに見守る存在だというわけだ。その後はさらに子供に相当する諸王による平定が讃えられ、王の名前がその象徴をなしているとされる。ここまでで16節。で、この章の結論部分は欠損。

9. したがって演奏家は、万物の神たるこの上なく偉大な王のほうを向くがよい。その神は常に不死であり、永遠であり、永劫の昔からすべてを司り、第一の勝利の覇者であって、そこから、勝利を受け取る後続の者たちすべての勝利がもたらされるのである……。

10. したがって、そうした称賛をもってして、言葉は私たちのもとへと降りてくるよう促されるのであり、共通の安全や平和のための諸王の統治へと捧げられるのだ。それらの王には、かつて最上位の神によって最大級の権威が付され、また神の右手の側から勝利が与えられ、あらかじめ審判も下り、戦の前から褒美も準備され、その勝利の記念は乱戦の前から建てられ、王になることのみならず最上の勇者たることも定められ、彼らは軍事行動にいたる前から野蛮人たちを恐れおののかすのである。