相変わらずの養生中。そんなわけで、いろいろな作業は中断中。本読みも滞りがち。そんな中、三中信宏『分類思考の世界』(講談社現代新書)を読む。連載がベースということだが、各章の頭にそれぞれ枕が配されているのはそのため(ちょっと多すぎる嫌いもないわけでは……)のよう。前の『系統樹思考の世界』よりも、どこか散漫な感じがするのもそのせいかしら(追補:そのあたりについて、あとがきで触れられていた)。基本的には、「種」概念を中心とした生物分類学の変遷をまとめたもので、とりわけマイケル・ギゼリンという人による「分類学の形而上学」の組み替えが軸線として据えられている。著者によると、それは種タクソンをクラスではなく、時空の制約を受ける個物と考える立場なのだそうで、その時空性をもった個物の形而上学をプロセス形而上学と称しているのだそうだ。うーむ、これは面白そう。なるほど、生物学的な分類は、まさに分類という営為の王道。そこから、その分類思考の枠組みそのものへの問いかけが出てくるというのも、ある意味当然の帰結なのかも、なんて。
あと、この本のカバーを外すと、そこにちょっとしたサプライズが。良いっすね、こういう遊び心満載の本作り。