積ん読になって久しかったフランク・E・マニュエル『ニュートンの宗教』(竹本健訳、法政大学出版局)を読み始める。ざっと本文の半分ほど。本文の後には補遺としてニュートンの論考の断片、手稿が続く。これらを通じて、ニュートンが宗教をどう自分のものにしていたか、宗教とどう(深く)関わっていたかを、通俗的な伝説排する形で(ニュートンが若いころから真摯に宗教に向き合っていた姿を描こうとしている)を追っていくというもの。原著は73年といい、実際この手の議論は伝聞的に広まっていると思うので、ある意味これは新古典という感じの一冊でしょうね、きっと。特に2章めの、自然と聖書という二冊の書物のメタファー(つまり科学と神学)についての話が面白い。ニュートンは、それらを分離せよという分離派の立場を取りながら、つまりそれらを総合しようとする汎知学の立場を批判しつつ、それらとはまた違う形で二つのメタファーの調和を見出す立ち位置にあった、という話(とても大雑把な要約だが)。このあたり、詳しい人にとってはもはや常識的なことなのかもしれないけれど、そういうちょっとずれているように見えて、その実、正攻法をなしているような立ち位置、というのが刺激的な感じ(笑)。もっと古い時代にも同じような例を見出せそうな感じもしなくない……なんて(?)。