ビウエラ曲の作曲家アロンソ・ムダーラが1546年に出した「三つの曲集」(Los Tres Libros de Musica……)は、とても多彩な曲を収録していることでよく知られた一冊という。歌曲のほか、ビウエラその他の器楽曲も多数収録されているとか。ライナーによれば、スペインでの楽譜印刷が始まってまだ40年程度しか経っていない頃のことで、それは威信に満ちた企てだったともいう。で、この「三つの曲集」をベースに、同時代の作曲家たち(ミラン、ナルバエス、ダサ、オルティス、カベソン)を散りばめたアルバムが、ラケル・アンドゥエーサ&プライベート・ムシケによる『三つの曲集(三部の譜本)』(A.Mudarra: Tres Libros de Musica Seville 1546 / Private Musicke, Pierre Pitzl, Raquel Andueza)。ビウエラとギター担当はピエール・ピッツルという奏者。なんというか、装飾入れたり結構自由なアレンジ(?)で奏でている。でも全体に、大陸的な哀調漂うしっくりした一枚になっているところがニクい(笑)。ビウエラ演奏のお手本にはならないけれど(苦笑)、日が短くなった今の季節、割とお薦めな感じではあるかな(?)
ジャケット絵に使われているのはエル・グレコの「毛皮の婦人」(1600)っすね。向きが逆か……結構CDで使われている気もしなくない。