昨日の『異端者の群れ』を読むのに最高のBGMとなるのが、ジョルディ・サヴァールの新譜『忘れられた王国 – アルビジョア十字軍、カタリ派の悲劇』(Le Royaum oublié – La Croissade contre les albigeois, la tragédie Cathare)(The Forgotten Kingdom: The Cathar Tragedy – The Albigensian Crusade / Jordi Savall)。毎年出されるブック形式のテーマ別CDのシリーズ。今回のはまさにオクシタニアへの壮大なオマージュ。3枚組約60曲で奏でる、壮大な歴史絵巻という趣き。古いイスラム的な音楽から、いかにも悠久の大陸を思わせる哀感この上ない器楽曲、声楽曲まで、様々な楽曲が年代記に沿う形で次々に繰り出される。これはど迫力。演奏はもちろんサヴァール率いるエスペリオンXXI。アンドリュー・ローレンス=キングも参加している。ソリストはおなじみモンセラート・フィゲラスなど。さらにゲストとしてアルメニア、トルコ、ブルガリア、モロッコなどの奏者を入れている。曲の合間にいくつかテキストの朗読があって、これがまた雰囲気を一段と高めてくれる(ラテン語や古仏語のヒアリング練習にもなるかな)。たとえば1枚目では聖ベルナールへの書簡、2枚目ではカタリ派とシトー会との論争や、イノセンティウス3世の第一回十字軍の呼びかけなどなど。うーむ、もはやこれはオクシタニア祭り以外のなにものでもない(笑)。