ゴンサルウス・ヒスパヌス?

このところ二度ほどメルマガのほうで参照したマイケル・サリヴァンという人の論文が、どうやらダウンロードできなくなっているようだ。なんだろう?出版に向けて公開を控えたのかしら。もしそうなら嬉しいが……。霊的質料について、新プラトン主義の系譜から初期スコラ、ボナヴェントゥラときて、フランシスコ会系の論者たち、それ以外の論者たちについてまとめ、最後にゴンサルウス・ヒスパヌスなる人物にまで至るという構成の、なかなか面白い論文だったので、これはぜひ正式に出版してほしいところ。ま、それはともかく。個人的にもこの、ゴンサルウス・ヒスパヌス(スペインのゴンサルウス)なる人物には引っかかる(笑)。同論文では最後の三分の一がこの人物をめぐる議論に当てられている。これまであまり取り上げられてこなかった人物で、そこでのまとめによれば、ゴンサルウスはオリヴィの弟子にあたり、若きドゥンス・スコトゥスを支援してもいるという。つまりはオリヴィとスコトゥスをつなぐ存在だったのかも(?)。パリで学び、後に教授職に就くも(regent Master)、ボニファティウス八世とフランスのフィリップ四世との抗争によって1303年にフランシスコ会が追われた後、フランシスコ会の総会長(minister general)にまでなっているという。マイスター・エックハルトとの論争が有名ということだけれど、これは知性に対する意志の優位性をめぐる論争だったとか。哲学的には、オリヴィとは違って、アリストテレス哲学をボナヴェントゥラ流のアウグスティヌス主義と和解させようとする立場に立つそうで、能動知性の分離も認めているという(ただし、それは個人の魂の中にあるとしているのだとか)。うーむ、このあたりの話もふくめ、これまであまり取り上げられてこなかった人物とのことだが、聞けば聞くほど興味をそそられる。

↓スルバランによる「聖ボナヴェントゥラ」(Wikipediaより)