【書籍】西洋音楽の正体

古楽ファン必携♪


 伊藤友計著『西洋音楽の正体』(講談社選書メチエ、2021)、古学ファンとしてはとても面白く読みました。いろいろ忘れている話とかも思い出しました。

 パレストリーナの伝統的な作曲様式に対して、モンテヴェルディが打ち出した革新が、属七の和音(いわゆるセブンスです)を、情感を表すために活用することだった、という話から始まり、教会旋法から長調・単調へと移っていく、まったく直線的ではない変遷の歴史、そしてラモーが確立することになった和声理論や、その後の批判など、とても興味深い論点が次々に取り上げられていきます。なかなか壮観です。