Early Greek Philosophy VII

第7巻はアトミスト。主役はデモクリトス


 Loebのシリーズ『初期ギリシア哲学』。第7巻は「後期イオニア・アテナイの思想家たち」パート2ということで、レウキッポスやデモクリトス、そしてその弟子筋などの古代原子論者たちが中心。デモクリトスはいろいろ面白くて、原子と真空との話のほかにも、味覚などの感覚が違うのは、もとになる原子の集積の形状が違うからだ、と述べていたりします。どの味が何角形かと明示しているわけではなく、苦みを感じるのはざらついた形状だからだ、みたいな感じですが、テオフラストスなどはこれに、あまりに恣意的だとの批判を加えたりするわけですね。

 あと、意外に興味深いのが、雑多な事象についてのデモクリトスの発言です。そこにはある種の倫理的なスタンスとかもほの見える気がします。間接的な報告文からのものですが、「最も重要な事象について、われわれは自然の教え子である」とか、「(ものの)名前というのは偶然によるものであり、自然本性によるものではない」とか。「恥ずべき行いをなす多くの人々が、最良の言葉を育んでいる」「人はよく出来たことよりも、犯した過ちを覚えているものだが、それは正しいことである」。あるいは「教育を受けた人の希望は、無学者の富よりも力がある」「より多くの人は、自然本性よりも鍛錬によって善人になる」。このあたりになると、なにやら、ある種の金言みたいですね(笑)。

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