コペルニクス

ユリイカのコペルニクス特集、そして日本の受容史


 今年はコペルニクス生誕550周年だそうで(ちょっと半端な感じですが(笑))、それと地動説を描いた漫画作品の『チ。』などもあって、『ユリイカ』(青土社)が1月号で特集を組んでくれています。国内の当代ルネサンス研究などの有名どころとかがこぞって寄稿した(?)、ボリューミーな一冊に仕上がっています。さっそく一通り読んでみました。

https://amzn.to/400grj2

 コペルニクスのほか、前後するフィチーノやブルーノ、ガリレオなどなどの話も、いわば定番として当然出てきますが、そんななかで、イスラム圏・ユダヤ圏などの研究者の寄稿が面白かったですね。スンナ派星辰神学の話とか、ユダヤ教徒がイスラムとヨーロッパの架橋をなしたかもしれないといった話とか。あと、個人的にはユルスナールの『黒の過程』からルネサンスを逆照射しようという論考とかも。

 日本での地動説の受容史についても、池内了氏が寄稿しています。個人的に同氏の『江戸の宇宙論』(集英社新書)も併読してみました。これもなかなか面白い一冊です。

https://amzn.to/3HsgTiW

  蘭学者の本木良永が日本で最初にコペルニクスを紹介したとされていますが、同書ではそれに続く人々、つまり司馬江漢(これは別の本で取り上げているため、同書では副次的な扱いです)、長崎通詞の志筑忠雄、豪商の番頭だった山片蟠桃を取り上げて、その足跡や著書などを紹介しています。でもなんといっても、冒頭でまとめられている蘭学の変遷史が、政治絡みの部分も含めて圧巻です。